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ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送) 5月29日
ドイツの送電設備会社が、送電網の大幅な拡充を発表しました。
この動きは10年以内に原子力発電所を全廃する、というこの国の取り組みのカギを握る重要なものです。
5月29日にドイツ政府が原子力発電を全廃する動きを加速すると発表したのに合わせ、ドイツの送電企業が送電網の拡充に多額の設備投資を行うことを発表しました。これでドイツ政府のプランは後押しを得たことになります。
送電企業テンネットの社長マルティン・フクスはボンで開かれた記者会見で、ドイツの脱原発作業に、これからの10年で約200億ユーロ(約2兆円)の費用を見込んでいる、と語りました。
この費用は主に送電網の更新に必要なものであり、その中には延べ3,800キロメートルの送電網、特に高圧送電網の建設費用が含まれます。
フクスはこれから行うべき作業は決して容易なものでは無い、と語りましたが、改めて以下のようにつけ加えました。
「ドイツは必ずこの取り組みを、成功させることができると思っています。」
他の3つの他の高電圧の送電企業、アンプリゾン、50Hertz(フュンフツィッヒ・ヘルツ)とトランスネットBWがこのプロジェクトに参加しています。
原発依存からの移行を成功させるために、ドイツが解決しなければならない大きな問題の1つが、送電網の整備拡充だと見られています。
「送電網の整備拡充無しに、再生可能エネルギーの進歩は結果を生むことは出来ないのです。」
ドイツ連邦送電網エージェンシーの代表、ヨッヒェン・ホーマンが記者会見でこう語りました。
この記者会見にはアンゲラ・メルケル首相、環境大臣ピーター・アルトマイヤー、財務大臣フィリップ・レースラーも参加していました。
▽ 大きなステップ
メルケル首相は29日、原子力エネルギーの使用を終えるための全体計画の「非常に大きな前進」となるとして、大規模な送電網の拡充計画を明らかにしました。
首相も原子力発電から再生可能エネルギーへの切り替えは、計画通り遅滞なく進行するだろう、との見通しを述べました。
「一年前の福島第一原発の事故直後、策定された計画通りの移行は十分に可能です。」
メルケル首相は自らが属する中道右派による2011年のドイツ国内の9基の原子炉を2022年まで稼働させるのを最後に、永久に原子力発電を廃止する、という決定に言及しました。
8基の老朽化が進んだ原子炉は福島第一原発の事故直後、停止させています。
首相はここ数週間に問題にかかりきりになっていました。
そしてドイツ16州の州知事との定期的な会談を開き、発電手段の切り替えに関連した問題を一つずつ、確認をしながら討議してきました。
これまで首相の支持基盤である中道右派も含め、一部の政治家たちは、原子力発電から再生可能エネルギーへの切り替えを発表されたスケジュール通り実現することが可能かどうか、疑問を呈して来ていたのです。
http://www.dw.de/dw/article/0,,15983761,00.html
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今週【 大企業による電力支配に、ドイツの小さな村が立ち向かう 】の記事中、ドイツでは再生可能エネルギーへの切り替えが、とりもなおさず巨大電力企業による電力支配を、『切り崩していく』ことにつながっていることが紹介されていました。
折しも後編を掲載した27日、日本では沖縄を除く全国の電力会社の株主総会が開催され、『脱原発を目指すべきだ』という株主提案が各地で定終されたものの、すべて否決されました。
全国ニュースでは、東京電力、関西電力の株主総会が取り上げられましたが、被災地の真ん中東北電力の株主総会で、ある動議が否決されました。
それは福島第一原発の事故による被害を大きく被った、福島県浪江町への「小高原発建設計画を白紙撤回せよ」という動議が、反対多数で否決されてしまったことです。
もちろん地元浪江町は反対に回りましたが、注目すべきは宮城県と仙台市が反対に回り、特に仙台市長は地元紙によれば
「原発建設を中止しなければならない、そのことをここで決める必要はない」旨の発言を行いました。
このことに、中央政府だけではない、日本の政治の病根の深さを痛感し、暗然としました。
仙台市にも福島県から避難されてきた方々がいて、日々辛い思いをしていらっしゃいます。
そしてそのことに心を痛めている宮城県人、仙台市民が数多くいます。
東北電力は株主総会で、東通原発、女川原発の再稼働を求めました。
その理由は東北電力という「会社」の経済性の悪化であり、福島第一原発の事故を受け、今後どうあるべきかなどという事は新聞のどこを探してもありませんでした。
仙台市も宮城県も、こうした人々の「心」に対する忖度などは無く、地元の大企業の経済性に対する懸念だけがあったのではないでしょうか?
巨大企業が巨大施設を稼働させなければ、電気は作れないのでしょうか?
全然そんなことは無い、という事が今、ドイツやアメリカで着々と実証されています。
【 大企業による電力支配に、ドイツの小さな村が立ち向かう 】の記事の中の小さな、小さな村の成功を、私たちの現実の中に生かしていきたいものです。
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【 Macユーザーのみなさんには、より多くお支払いただきます 】
アメリカNBCニュース 6月26日
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