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【 終わるはずの無い環境破壊 – 止まっていない!大気中・海洋中への放射性物質の漏出 : 福島第一原発 】《前篇》

読了までの目安時間:約 7分

『新たな事故』が作られつつある福島第一原発、偽りの安全、偽りの安定を信じるのは危険!
新たな汚染水の漏出は、別の深刻な問題を作り出している

マーティン・ファクラー、田淵ひろ子 / ニューヨークタイムズ 10月24日

無残な壁面
事実が明らかになってから数か月たった今も、破壊された福島第一原発からもたらされる悪い知らせの氾濫が、止めどなく続いています。

今年の夏、福島第一原発を管理する東京電力は汚染された地下水が毎日数百トンという単位で海洋中に流れ込んでいることを認めましたが、新たな事故の発生により、福島第一原発から環境中に放出されている放射性物質の量は、減るどころかむしろ増え続けている有様です。

今週新たに報じられたのは、汚染された雨水が擁壁を乗り越えて溢れだしてしまったというものでした。
その2週間前には作業員が汚染水の配管を誤って外してしまい、10トン以上の汚染水が流れ出して付近の地面を水浸しにした上、作業員自身も複数が汚染水を浴びてしまいました。

こうした事故が相次ぐ状況により、福島第一原発の事故について新たな疑問が持ち上がることになりました。
染水の漏出が続いているが、周辺環境への漏出はどの程度の規模なのか?
そして、2年半前に発生したそもそもの事故に新たな事故が加わったことにより事故の規模は拡大し、日本の人々は新たな危険にさらされているのではないか?
さらには長い時間を必要とするものの、多方面から期待されている、環境中に放出された放射性物質の放射性崩壊が進むことによる、環境の回復始まっているのか?
などの問題です。

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この数週間の間に行われた複数の科学者に対するインタビューは、専門家といえどこうした問題に対する答えを出すことは困難であるという状況を示唆しています。
その中には、福島第一原発の沖合、海底の幅広い場所で放射線量が異常に高いホットスポットが複数確認されましたが、それが2011年3月の事故によるものなのか、それとも最近の汚染水の漏出によるものなのかの判断なども含まれます。

しかしこうした研究者や福島第一原発を管理する立場の東京電力が確認した様々な事実は、福島第一原発周辺が予断を許さない状況にある事を示唆しています。

最近明らかになった汚染水の太平洋への漏出は、事故当初よりも大規模になってしまっていることが疑われています。
そして汚染水の漏出量は、2015年に完成を予定している凍土壁が完成するまで、減少させる手立てが見つからない可能性があります。

この問題とは別に、今や多くの日本人は福島第一原発からの大気中への放射性物質の放出は止まっているものと考えていますが、実際には大気中への放出は現在も続いているのです。

「この状態が続けば、深刻な環境破壊がゆっくりとではあっても、進行し続けることになります。」
福島第一原発の汚染水の漏出状況について調査を続けている、産業技術総合研究所・地質調査総合センターの地球物理学者である丸井敦尚(あつなお)氏がこのように語りました。
「汚染水の漏出に終止符を打たなければ、我々は新たな『人災』を引き起こす危険を冒すことになります。」

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しかしインタビューを行った福島第一原発の現状について最も懸念している科学者の中にも、今回の汚染水の漏出が直ちに人間に対する脅威が拡大していると考えている科学者はいませんでした。

福島第一原発周辺で生活していた80,000人の住民たちは事故後、ただちに避難を行い、周辺海域での漁業は現在厳しく制限されていることから、新たな汚染水の流出が、ただちに人間に被害を与える可能性はほとんど無いとしています。

しかしこの科学者たちも、環境への影響は全くの別問題だと語っています。

そして現在大気中、そして海洋中に漏出が続いている放射性物質の量は、事故直後のものと比較すればかなり低いものであるとはいえ、正常に機能している原発に課される制限をはるかに超える量の漏出が、現在も続いていると語りました。

東京電力、日本政府ともに、汚染水問題は目下の緊急課題というほどではないという態度をとっています。
外洋に流出した放射性物質は広大な太平洋の中で希釈され、高濃度の汚染水は福島第一原発の専用港内に閉じ込められた状態にあり、それ以外の潜在的脅威は存在しないという立場をとっています。

しかし、太平洋に流出した放射性物質が、ほとんど影響がないところにまで希釈されていること、そして事故の影響を受けた東日本各所の地下水や水道水の放射線量が、安全基準を満たしていることには同意する科学者も、新たな汚染水の漏出が別の深刻な問題を作り出している可能性について懸念を深めています。

漁師01
広範囲にわたる場所で、放射線量が異常に高いホットスポットが確認されている問題とは別に、日本の水産庁は、福島県沖で獲れた海底棲息魚介類の10分の1以上から、政府が定める安全基準を超える放射性セシウムが検出されていることを明らかにしています。

〈 後篇に続く 〉

http://www.nytimes.com/2013/10/25/world/asia/with-a-plants-tainted-water-still-flowing-no-end-to-environmental-fears.html?pagewanted=1&_r=0
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福島第一原発の『本当の状況』を私たち一般市民が理解するには、ニューヨークタイムズとフェアウィンズに勝るものは無い。
それが3.11以降、数百本の原発関連記事を翻訳してきた私の『個人的な』感想です。
もっと言えば、マーティン・ファクラー氏、田淵弘子氏、そしてアーニー・ガンダーセン氏に勝る人はいません。

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