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【 原子力発電所の全面再稼働、日本にとって本当に必要なのか 】〈後編〉

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所要時間 約 6分

心の中にある本当の思いを、表には出せない原発立地市町村の人びと
ふんだんにカネを使い、反対者の声を抑え込む原子力発電企業

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 3月20日

伊方原発
日本の国土を構成する4つの大きな島の中で一番小さな四国の、その西の端にある伊方町は、直接の政治的圧力とは別の形で大きな圧力を感じています。
伊方原発の原子炉停止により、町の収入が大きく落ち込んでしまっているのです。
町の職員は、2年前に3基の原子炉がすべて停止したことにより、伊方町の年間の税収入が全体の3分の1、約3,500万円減少してしまったと語りました。
最大の理由は、原子炉に挿入する核燃料が運び込まれた際に課税する核燃料税の税収です。
原子炉の停止により、新たな核燃料の運び込みが完全に停止してしまったのです。

以来伊方町の山下町長は、ミカン狩りや瀬戸内海での海釣りを目玉に観光収入を拡大し、原発への依存からの脱却を訴えてきました。
しかしその政策が成功しても、原発関連の収入が可能にしてきた町の財政基盤の安定化にはつながらないことを認めています。
「私たちは原子力発電所には危険がついて回るという事を知っています。しかし、その危険は飛行機に乗ること、車を運転することにもついて回るのです。」
山下町長がこう語りました。

「日本政府はそうした危険を減らすために可能な限りの対策を全てとっている、私たちがそう信じることが出来るようにしてほしいのです。」
伊方町の財政が原子力発電所の存在に大きく依存していることを証拠立てるもの、それは立派な町役場の庁舎です。
建設予算のほとんどを賄ったのが、原発関連の収入でした。
小さな町には不釣り合いなほど大きな7階建ての庁舎は、隣接して建つ博物館形式の原子力発電所のプロモーション・センターとともに、町全体を見下ろして建っています。

伊方町役場
この2つの建物は、高架歩道によって結ばれています。
日本の地方でよく見られるように、ここで暮らす人々も連帯意識が強く、他人が生計を依存している施設や組織を批判すれば相手を怒らせることになるため、そのような行為を敢えてするようなことはありません。
多数の人が経済的に依存している伊方原発への批判についても、町の人々は極力それを控えています。
彼らは時折不安そうなそぶりを見せるだけです。
具体的な話を聞こうとすれば、匿名が条件になります。

しかし限られたものではあっても、伊方原発の存在に反対する人々は存在します、
その証拠のひとつが、伊方原発の外に設置された立て看板であり、そこには黄色いペンキで大きな手が描かれ、『原発を完全に停止させよう』というメッセージが添えられています。
そしてもうひとつ、2011年の福島第一原子力発電所の事故の後に伊方原発の完全廃炉を求めて起こされ、現在審理が続いている訴訟においても、1,002人の原告のほとんどは近隣市町村の人びとですが、伊方町からも数名が加わっています。

「伊方町の人々の心の奥底にも、原子力発電に反対する気持ちがあると思います。しかし原発を止めれば町が大きな経済的な損失を被ると解っている上、人々の恐怖を抑えるために金が使われており、反対意見をなかなか口に出せずにいるのだと思います。」
訴訟団の代表のひとりで、隣接する市で暮らす、機械メーカーを退職した68歳の松浦秀人さんがこう語りました。

伊方原発反対02
伊方原発を運営する四国電力は、住民のこうした不安を和らげるため、厳しくなった新しい安全基準に適合させるため、4年の年月と840億円をかけて改修を進めてきました。
全電源停止を引き起こし、最も重要な冷却システムを停止させたしまった巨大津波が襲っても、水没しない高い場所に非常用電源装置と排水ポンプの設備、およびそれを運び上げるための複数台数のトラックなどがこの対策には含まれています。

四国電力は伊方原発が停止している間、無理にでも火力発電所をフル稼働させ、追加分の燃料を輸入するため毎年70億円の赤字を毎年計上せざるを得なかったと語りました。
四国電力の西崎広報担当がこう語りました。
「日本政府が原子力発電所の再稼働を決定できなければ、地方経済は停滞を余儀なくされることになります。」

〈 完 〉

http://www.nytimes.com/2014/03/21/world/asia/warily-leading-japans-nuclear-reawakening.html?_r=2
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「経済が停滞する」そのようにお考えの方には、ぜひ、下記URLの新聞記事に掲載されている、福島第一原発事故の被災者の方々の声を置き聞いただきたいと思います。
http://www.kahoku.co.jp/special/spe1134/20140327_01.html
「親と離れ生活 我慢もう無理」などの見出しに、心が痛みます。
原発再稼働の先に本当にあるもの、それは何であるのか、福島の人々の声を一人でも多くの方に真摯な気持ちで聴いていただきたいと願うばかりです。

尚記事中最後の写真は『伊方原発をとめる会』のホームページ( http://www.ikata-tomeru.jp/ )より借用しました。

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ほんとうの「今」を知りたくて、アメリカCNN、NBC、ABC、CBS、英国BBC、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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