ホーム » エッセイ » 「この先どうなるかわからない」東京電力による事故収束作業は、すでに崩壊している[CNN]
【 汚染水の漏出を続ける福島第一原発、地中凍結策を検討 】
汚染水、残された解決方法は海洋投棄、あるいは蒸発気化のみ?!
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マット・スミス / アメリカCNNニュース 8月9日
8日水曜日、日本の安倍首相は政権閣僚に対し、福島第一原発の原子炉のメルトダウン以降続いていたとみられる汚染水の漏出を『速やかに、確実に』食い止めるため、原子炉建屋周辺の地中を凍結させる方法も含め、あらゆる対策を検討するよう命じました。
今回の安倍首相の指示は、この4半世紀で世界最悪の原子力発電所事故を起こした福島第一原発から、汚染水が太平洋に流れ込んでいることを東京電力が認めてから2週間を経て行われました。
「これは東京電力一社に任せておいて良い問題ではない。」
安倍首相は原子力事故対策会議の席上、このように語りました。
「国としてしっかり対策を講じていく」と語り、
事故処理を監督する茂木敏充経済産業相に対し、地下水が汚染された原因を解明し、海への汚染水流出を防止するための対策について、速やかにあらゆる選択肢を検討するよう指示した事を明らかにしました。
東京電力は汚染がひどい原子炉建屋付近の地中を凍らせ、凍土によるバリアを形成し、流れ込む地下水が放射性物質を発電所の外に運び出さないようにする方法を提案しています。
「一般市民の間には汚染水問題に対する強い懸念があり、この問題は早急に解決する必要がある。」
安倍首相はこのように語りました。
「東京電力に任せるのではなく、国としてしっかり対策を講じていく。」
菅義偉内閣官房長官は、地中を大規模に凍結させる対策については先例が無く、この対策のため東京電力を援助することによりどれ程の国費が投入されるか、その規模はまだわからないと語りました。
「地中をとうけつさせるという大規模な対策を実施するということになれば、国が前面に出てリードしていく必要がある。」
菅官房長官はこう語りました。
「日本政府がこの事業を支援する必要がある。」
地中を凍結させるためには、様々な技術的な難題を解決しなければなりません。
破壊された原子炉建屋の周辺に何千本ものチューブを挿入し、そこから強力な冷却液を注入する作業もその一つです。
この技術はトンネルを掘る際に利用されたものですが、今回の福島第一原発においてはそれをはるかに上回る規模で実施する必要があります。
2011年3月、東日本沿岸地区を壊滅させた巨大地震と巨大津波が福島第一原発を破壊して以来、東京電力はこれまでずっと汚染水問題と苦闘し続けてきました。
福島県沖の海水の放射線濃度の調査を続けてきた科学者は、その数値が高止まりのまま一向に低下する様子の無いことが、福島第一原発から汚染水漏れが続いていることの何よりの証拠であると、1年以上に渡り主張してきました。
しかし東京電力はこの7月下旬になるまで、表向きその事実を頑強に否定し続けてきたのです。
毎日数百トンと言うペースで生み出される汚染水を保管するため、東京電力は福島第一原発の敷地内に膨大な数の貯蔵タンクの建設を続け、さらに汚染水が敷地の外に漏れ出さないよう地下に防護壁も建設しました。
しかし東京電力の尾野昌之原子力・立地本部長代理は、いずれの対策も困難な状況に陥っていることを認めました。
「今や汚染水が福島第一原発の湾内に漏出し、我々にその制御が出来なくなっているのは抗いようのない事実です。」
その大部分は再利用されてはいますが、東京電力はメルトダウンした三基の原子炉の核燃料の再加熱を防ぐため、毎日数百トンの水を原子炉内に送り込む作業を2年以上に渡り続けています。
2011年3月に襲った津波は、東京の北方約240kmの場所にある福島第一原発を水没させ、原子炉の冷却装置を破壊しました。
その結果、1986年のチェルノブイリに次ぐ、世界史上最悪の原子力発電所事故が発生したのです。
原子炉のメルトダウンと水素爆発は、周辺の市町村を始め環境中に大量の放射性物質を放出しました。
事故による直接の死者こそいませんでしたが、福島第一原発の周辺40キロ圏から100,000を超える人々が避難を余儀なくされました。
東京電力は7月、原子炉建屋近くを掘削した試験用の井戸から、高濃度の放射性トリチウムが検出されたことを明らかにしました。
中には1リットル当たり500,000ベクレルという、極めて高い濃度の汚染水が採取された場所もありました。
日本で成人が飲んでも安全だとされているのは、1リットル当たり300ベクレルです。
事故発生当初から福島県沖の実地調査も含め、この問題に取り組んできたアメリカのウッズホール海洋科学財団のケン・ビュッセラー博士は、井戸から採取された水には同じく高濃度の放射性ストロンチウム-90が含まれていると指摘しました。
ストロンチウム-90は人間の体内でカルシウムと誤って認識され、骨の中に蓄えられてしまう性質を持っており、発がん性が高いことが知られています。
ビュッセラー博士は現在福島第一原発から海洋中に漏出している放射性物質の量は、事故直後と比較すると1万分の1にまで低下していると語りました。
しかし東京電力が汚染水漏れを認めたこと自体は、科学者にとってさほどの関心事ではありません。
「私にとっての疑問は、漏出している放射性物質の量が、先月と今月を比較した場合にどうなっているかという事です。」
ビュッセラー博士は次のように続けました。
「そのことが明らかになっていない、その点もまた緊急事態の一端を形成しているものと考えています。」
原子力発電所の元職員である技術者のマイケル・フリードレンデルは、現在の状況から見て今後東京電力と日本政府が採用する可能性のある2つの選択肢に言及しました。
2つながら、日本を含め世界中の一般市民の怒りを買う可能性があります。
「海洋直接投棄、あるいは蒸発させてしまうという方法です。」
「つまるところ、毎日毎日400トンの水をかき集めて長期間貯蔵するなど、そんなことをいつまでも続けられるはずがないのです。」
フリードレンデル氏がこう語りました。
アメリカ最悪の原子力発電所事故となったスリーマイル島の場合、合衆国政府の担当部局は汚染水の問題について、蒸発させる措置を実際に採用しました。
しかし福島第一原発事故は、スリーマイルとは比較しようが無いとフリードレンデル氏が語りました。
「私たちはこの先どうなるかわからない、まさにそんな場所に追い込まれてしまったのです。」
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マット・スミス / アメリカCNNニュース 2013年8月9日
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