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【 気候変動と原子力発電 – ゲンパツを続けるための詭弁(きべん)を許すな 】《後篇》

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所要時間 約 5分

原子力発電の「本当のコスト」を積算すると、従来型石炭火力以外のすべての発電手段より高額になる
従来型石炭火力発電と原子力発電は、淘汰されるべき運命にあり、大規模送電網もまた、その後を追うことになる

マーク・ビットマン / ニューヨークタイムズ 8月23日

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発電コストについては発電手段によって、あるいは様々な条件によって多様に変化します。
そしてどのような発電手段であっても反対する人々が必ずいますが、実際には様々な発電手段が稼働しています。
しかしそれらの中で形式的にではあっても環境を守る、あるいは周辺住民の健康を守るための費用を、発電コストに計上している例はきわめて稀です。
こうした外部費用を加算した場合、原子力発電を行うための費用は、石炭を除く他のすべての発電手段よりも高額になります(気候変動問題に対処するため、真っ先に従来型の石炭火力発電がやり玉にあがる理由もここにあります)。

私たちに気候変動を阻止するという強い意志があったならば、従来型の石炭火力発電はこの20年間で全廃させられていたはずです。
そして次に続くのは原子力発電であったはずなのです。

しかし、地球温暖化や環境にとって脅威となる2つの発電手段、従来型の石炭火力発電と原子力発電に代わって、真の再生可能エネルギーがエネルギー需要に対する供給体制を万全なものにするまでの間、新たな原子力発電所の建設が行われなくなる可能性があります。

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そうなれば、今度こそ本質的な方向転換が可能になるでしょう。
原子力発電の支持者たちは、原子力発電は従来型の石炭火力発電よりも優れた発電手段であり、これまで通り手厚い補助金を支給すべきだと主張しています。

従来型の石炭火力に代わるものが原子力発電しかないというのであれば、その主張にも正当性はあります。
しかし現実はそうではありません。

天然ガス(開発途上ですが、改良の余地は大いにあります)と風力発電は、エネルギー効率も含め、すべての面において原子力発電よりも安価な発電手段です。
太陽光発電に至っては、手厚い補助金を差し引いた後の原子力発電のコストをすら凌駕する経済性をすでに実現しています。

いくらかの研究結果により、再生可能エネルギーは現在の技術水準で、2050年にこの地球上で必要になる電力の80%を供給可能だとしています。
しかも発電部門における温室効果ガスの削減も、80%行うことが出来るのです。

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地球温暖化防止策、そのために古くて危険な発電手段を復活させる理由にはなりません。
進歩が続く再生可能エネルギーをこそ選ぶべきです。
その方がより現実的な選択です。

しかし再生可能エネルギーは、まだまだ現実には利用されていません。
水力発電を除く再生可能エネルギーの昨年度の全発電手段に占める割合は5%に過ぎませんでした。
しかしその成長速度は目覚ましく、太陽光発電と風力発電による発電量はこの5年間で4倍に増えました。
アメリカの連邦エネルギー規制委員会の議長は今週、今後太陽光発電システムは2年ごとに倍に増えていくだろうとの予測を公表しました。

メインフレーム・コンピュータがパソコンに取って代わられたように、郵政事業が電子メールに取って代わられたように、発電会社は太陽光発電システムに今の地位を奪われてしまう事を何より恐れているのです。

技術の進歩が古くて危険な発電手段 – 従来型石炭火力発電と原子力発電を追いつめています。

原子力発電崩壊
従来型石炭火力発電と原子力発電は、淘汰されるべき運命にあります。
そして大規模送電網もまた、その後を追うことになるでしょう。

それは地球上に生きる私たちにとって、歓迎すべき事態なのです。

※マーク・ビットマン(Mark Bittman)は、オピニオン誌のコラムニストであり、タイムズ誌を代表する食に関するコラムニストです。
彼のコラム『Minimalist(ミニマリスト、ミニマリズム支持者)』は、タイム誌で13年間連載が続いています。

〈 完 〉

http://opinionator.blogs.nytimes.com/2013/08/23/the-new-nuclear-craze/?_r=0
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この記事の執筆者が『食』を専門とするコラムニストであるという点に着目して良いと思います。
エネルギー問題や環境問題の分野だけでなく、様々な分野の人々がそれぞれの立場から原子力発電の非なることを訴えていく。
こうした動きの広がりに期待をしたいと思います。





 

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