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【 国際社会において、日本の品位と評価を下げ続ける安倍政権 】《後篇》CNN

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所要時間 約 7分

平和主義国家日本の業績には関心が無い安倍首相、悲願は大日本帝国の再建のみ?
1945年に終わったはずの戦争が、日本では21世紀に長い長い影を伸ばし続けていく
従軍慰安婦問題や戦争犯罪、戦争責任について客観的議論を行なえないように、攻撃を繰り返す

ジェフ・キングストン / アメリカCNNニュース 8月30日

憲法解釈変更 6
戦前の軍国日本に対し、1945年以降アジア太平洋地区において平和と繁栄を築くために日本が達成した数々の成果を、日本人が誇りに思うことは認められて当然のことです。
しかし安倍首相はこうした成果には関心が無く、アジア全体に版図を拡大しようとした大日本帝国の20世紀の事績にのみ執着し、いやがうえにも世界の視線をそこに向かわせることになりました。

安倍首相は機会ある度、中国と韓国に対する対話の窓口は『常に開かれている』という言い方をします。
しかし歴史の不都合な部分を書き換えてしまおうとするその言動にアジア各国は不信感を募らせており、結局日本は北東アジア地区において孤立を余儀なくさせられています。

▽安倍首相の日本版文化大革命

ではなぜ安倍首相は、近隣諸国との緊張を高め結果的に日本を孤立させると解っていながら、こうした言動を繰り返すのでしょうか?

それは安倍氏には先見の明が無いという事だけにはとどまりません。
安倍首相は自らが『自虐史観』と呼ぶ戦後日本の常識を覆し、日本の国家としてのアイデンティティを再定義するための日本版文化大革命を戦っているのです。
彼は日本人の中に誇りと愛国心を育てたいと考えており、世界の視点から見れば歴史を歪曲することが彼にとっては歴史を正すことなのです。

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安倍首相は熱狂的な信者です。
彼の数々の言動は戦後日本社会の平和主義的秩序を破壊するという政治信条に立脚しており、その中に極東軍事裁判(東京裁判)も含めアメリカを含む連合国側の不当な押しつけによって設立した戦後の日本の価値観への戦いは決してあきらめないというメッセージなのです。

安倍首相は今年初め、過去にも言及した1993年の従軍慰安婦問題に関する河野談話、すなわち謝罪を日本政府として取り消そうと図りましたが、アメリカ側の圧力により断念せざるを得ませんでした。

アメリカ政府は極東アジアにおける最重要同盟国である日本と韓国を対話により和解させようと切望していますが、安倍首相が歴史を歪曲しようとする言動を繰り返したことにより韓国民の日本に対する不信感は強烈なものになっており、現実はきわめて厳しいものです。
オランダで開催された核軍縮サミットにおいては、安倍首相が河野談話の継続を約束することが、バラク・オバマ米国大統領、パク・クネ韓国大統領との3者会談の実現のための最低条件とされました。

▽ 冷たいままの日本に対する世論

日中戦争 1
しかし安倍首相のわずかばかりの譲歩に対する韓国の評価は、極めて冷淡なものでした。
安倍首相は、日本が軍の性的奴隷とするため強制的に若い女性を挑発した従軍慰安婦問題について客観的検証を許さず、常に旧日本軍に有利な状況を作りだそうとする意見しか言わない人物として有名な存在です。

そして今回、河野談話を否定しないとの見解を明らかにした一ヵ月後に、戦争犯罪人に哀悼の意を表明する追悼文を起草したことが明らかにされたのです。

そして日本の国会内における安倍首相の支持者は、河野談話の再検証の作業を続行すると宣言することにより、同談話の正当性に一般国民が疑問を持つよう仕向けようとしています。

と同時に従軍慰安婦問題や戦争犯罪、戦争責任について客観的議論を行なえないよう、攻撃する姿勢を見せ始めました。
このような攻撃は安倍首相の反動的政治基盤の本質でもあります。

歴史の真実に対する攻撃的で一切の反省を見せない安倍首相の言動は、隣国をして日本に対し安心して交渉のテーブルに着くことを難しくさせています。
日本に向けられる視線は、このまま冷たいままなのでしょうか?

反安倍 2
9月に米国日本韓国による戦略的対話を前進させる事が出来るよう、パク・クネ大統領に対してはアメリカ側から歴史問題に触れないよう圧力がかけられています。

しかし11月に北京で開催予定のAPECサミットで、安倍首相が習近平中国国家主席との間で首脳会談を実現させることは、今回の追悼文の問題でより一層困難になったと考えるべきでしょう。
それはつまり1945年に終わったはずの戦争が、日本では21世紀に長い長い影を伸ばし続けていくことが確実になってしまったことを意味するのです。

※筆者について : ジェフ・キングストンは日本のテンプル大学のアジア研究部門の責任者です。
専門は同地域における国家間の対立・紛争です。
この記事において表される見解は、キングストン氏個人のものです。

〈 完 〉

http://edition.cnn.com/2014/08/29/opinion/japan-abe-war-criminals-kingston/index.html?hpt=ias_mid
 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

従軍慰安婦の問題について韓国の当事者の主張を否定するなら、日本側の当事者が証言に立つ必要があるでしょう。
韓国側の当事者がいわば『恥を忍んで』証言台に立っているのに、日本側の当事者、施設の運営者や慰安婦の募集や現地への送り込みを行った人間が証言台に立たないのはなぜでしょうか。

もう亡くなられましたが、戦時中中国で憲兵をされていた警察OBの近所の男性がある折、私にこう語られたことがありました。
「私たちが中国でやったことは、口が裂けても言えない…」





 

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