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【「広島の教訓を平和な社会の実現のため生かす」そんな気持ちは持ち合わせていない安倍首相 】《後篇》

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所要時間 約 10分

安倍政権による憲法の解釈変更は、憲法第9条を骨抜きにするための法的に整合性の無い目晦まし行為
安倍首相の軍事拡大路線を支持しない日本国民、しかし『経済優先』の表看板に惑わされ続けている
安倍政権の軍拡路線を支持させるため、ことさらに強調される『中国、北朝鮮の脅威』

ジョナサン・ソブル / ニューヨークタイムズ 5月26日

NYT広島01
安部首相による『戦後体制の変更』はオバマ政権に歓迎されました。
アメリカはアジア地区における軍事的プレゼンス(存在感)を強化するため、軍事部門への投資を拡大しようとしていますが、実現するためには同盟国の援助を必要とします。

しかし安倍首相のこうした取り組みは、大日本帝国による侵略と植民地化の記憶がまだ生々しく残るアジアの多くの地域で、中でも特に中国において不安を引き起こしました。

安倍首相は彼の政権が『憲法の再解釈』を行った直後、安全保障関連法案を国会で強行採決しました。
法律関係の学識経験者や原爆に関わる平和活動団体などはこの動きについて、日本国憲法の平和条項である第9条を骨抜きにするための法的に整合性の無い目晦まし行為だと非難しました。

安全保障法案03
原爆投下70年目を迎えた2015年8月、被爆者を代表する7つの団体の代表が安全保障関連法案を取り下げるよう求める書簡を安倍首相に送りました。
しかし安倍首相はこれを拒否、法案はその翌月、国会で成立しました。

平和団体はこの法律の違法性を法廷の場で争う準備を進めています。
しかし日本の最高裁判所はこれまで、安全保障問題に関して日本政府とは別の立場から検証し直すことはしたことはありません。

第二次世界大戦についての日本の謝罪
世論調査の結果を見る限り、日本国民の大多数は安倍首相の軍事拡大路線『積極的平和主義』を支持していません。
しかしこの問題は多くの日本人にとって最優先事項ではないようです。

日本経済
多くの国民は安全保障に関わる問題よりも、長期にわたり停滞が続く日本経済始めとするもっと具体的な問題の方を重視しています。
安全保障関連法案反対の立場で一致した野党各党の支持率が一桁で低迷する一方、自民党の支持率はこれらをはっきりと上回っています。

安全保障関連法案を含む安倍首相の方針は相当程度の一般国民の抵抗に遭遇しました。
しかしこうした国民の抵抗感情も、それを担うべき野党間の内紛とリーダーシップの不在により、それを政治的な力としてまとめ上げることはできませんでした。

「多くの人々は安倍首相が行なっている防衛政策の転換を良く思ってはいません。」
現在大阪経済法科大学の浅井基文教授がこう語りました。
「しかし国民の多くは安倍首相とその支持者たちが『中国、北朝鮮(の脅威)』と声を張り上げると、(日本が軍事力を強化することも)仕方がないと考えるのです。」

広島原爆ドーム04
安倍首相の側近たちはオバマ大統領の広島訪問が、安倍首相に対する支持率を押し上げるだろうと期待しています。
オバマ大統領は被爆者が望んでいた謝罪こそ行いませんでしたが、その広島訪問を多くの日本人が歓迎しました。
そして安倍首相はオバマ大統領への好評価の余禄を得ることが出来た一方、局面の打開に悩む反安倍派は指をくわえているしかありませんでした。
「オバマ大統領が広島を訪問すれば、安倍首相の株はその分上がることになります。その事は結局、憲法第9条を恐ろしい結果へと導くことにつながってしまうのです。」
被爆者プロジェクト「証言の航海」を企画してアメリカを始めとする世界各国を訪問し、被爆者の体験を伝えた日本のNGO組織ピースボートの吉岡達也氏がこう語りました。

安倍首相はこの夏、上院にあたる参議院選挙の指揮をとらなければなりません。
首相側近は国政への直接的な影響力を持つ衆議院の解散総選挙も検討されていると語りました。
もし衆参同日選挙で自民党が勝利すれば、安倍首相はさらに4年間の任期を手にすることが出来、彼の支持者とともに憲法改定のゴールへと駆け込むことが出来ます。

安全保障関連法案の成立に拍手を送る与党議員たち

安全保障関連法案の成立に拍手を送る与党議員たち


広島で長年平和運動に携わってきた森滝春子さんは、オバマ大統領の広島訪問について、素直にうれしいと語り、もし可能であれば原爆投下は誤りであったと認めてくれればなおうれしいとも語りました。
彼女の父親は原爆投下で部分的に視力を失い、後に原水爆禁止日本協議会の設立者の一人になりました。

森滝さんは安倍首相の政策こそは広島が象徴する歴史的教訓を風化させてしまおうとするものだと語り、オバマ大統領がその安倍首相と一緒にスポットライトを浴びる場に立たざるを得なかったことについて、きわめて残念だったと語りました。
「私は原爆慰霊碑の前に立つオバマ大統領をこの目で確かめたいと思います。でもその脇に立っている安倍首相の姿は見たくありません。」
「私は広島の原爆犠牲者を悼むための施設が、安倍首相の政治目的に利用されるのを見たくはないのです。」

〈 完 〉
http://www.nytimes.com/2016/05/27/world/asia/japan-obama-abe-constitution.html?rref=collection%2Ftimestopic%2FJapan&action=click&contentCollection=world®ion=stream&module=stream_unit&version=latest&contentPlacement=9&pgtype=collection&_r=0
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【 硫黄島の星条旗に関わるミステリー 】《2》

アメリカNBCニュース 5月30日

硫黄島03
硫黄島で歴史的写真の撮影を行ったアメリカ陸軍カメラマンのバーンズ元上等兵は1988年5月7日亡くなりましたが、彼の遺品の中に1945年2月23日すり鉢山の頂上に大きな星条旗を打ち立てた瞬間を記録した写真はありませんでした。
国防総省にも、個人のコレクションの中にも見当たりませんでした。

こうしてバーンズの証言は次第に誰にも顧みられなくなっていったのです。
実際に星条旗を掲げた兵士の証言やローゼンタールの有名な写真にもバーンズの存在は確認できません。
『すり鉢山に掲げられた星条旗の影に("Shadow of Suribachi: Raising the Flags on Iwo Jima.")』の共同著者である歴史家パーカー・アルビーは、失われてしまったことにより一層興味をそそられると語りました。
「これこそは本当のミステリーです」
彼はNBCニュースの取材にこう答えました。
「我々はジョージ・バーンズがその時にその場所にいたということを知っています。しかし彼が撮影したとする写真に関する記録はほとんど見当たりません。」

多くの歴史家はバーンズ上等兵とバーマイスター軍曹が撮影した『第2の星条旗の掲揚』の瞬間を撮影したとされる写真が、ローゼンタールの有名な写真の印象を弱めてしまう事を避けるために、米国政府が故意に抹殺したと考えています。
APによって配信された瞬間からローゼンタールの写真には、あらゆる分野から賞賛が寄せられ、アメリカ国中の何百という新聞の一面を飾り、国内の愛国的熱意を最高潮へと盛り上げました。

硫黄島04
「ローゼンタールの写真を一番に強調したかったアメリカ海兵隊当局は、その目的のためそれ以外の写真を公開あるいは他部門に一切渡さなかった可能性があります。」
アルビー氏がこう語りました。
彼もまたアメリカ軍当局による他の写真の故意の隠滅を疑っている一人です。

すり鉢山の頂上に星条旗を打ち立てる第5軍米海兵隊第28連隊の兵士。ジョー・ローゼンタール撮影、ピュリッツァー賞受賞。

バーンズ上等兵の家族や親族は、彼が硫黄島で体験したことを世代越えて共有してきました。
彼らはアルビー氏の疑いはもっともであり、バーンズ上等兵の業績について正当な評価が下されるべきであると考えています。
「アメリカ陸軍のジョージ・バーンズ上等兵と海兵隊ルイス・バーマイスター軍曹は軍のカメラマンとして、星条旗を打ち立てる歴史的瞬間を撮影しました。それこそが事実です。」
ローゼンタールの業績にだけ光が当てられた歴史を振り返りながら、ニューヨークで暮らすバーンズ上等兵の甥のクリス・ビュレク氏がこう語りました。


http://www.nbcnews.com/news/us-news/star-spangled-mystery-what-became-lost-iwo-jima-flag-raising-n581741






 

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