【 原発の放射性核廃棄物の処分と廃炉、巨額の費用は誰の責任?】《後篇》
完全解体・完全廃炉か、それとも隔離封鎖(石棺)か?
電力会社には原発を建設・運転する能力はあっても、完全廃炉にするだけの力は無い?!
ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送)4月27日
原子力発電所の廃炉についてこれまで電力会社に対しては、2つの選択肢が与えられていました。
ひとつは使用済み核燃料を処分した上で原子力発電所の設備すべてを解体撤去し、敷地全体を除染・整地までを行う完全廃炉、もうひとつは施設全体をフェンスで覆って永久に封鎖し、許可なく人が近づかないようにする隔離封鎖、いわゆる石棺です。
しかしKFKは今や隔離封鎖は選択肢に含むべきではないと勧告しています。
これにより、ドイツ国内のすべての原子力発電所は完全廃炉される予定になっています。
この廃炉の財源を確保するための委員会は、ドイツ政府が可能な限り早く原子力発電所の完全廃炉の作業に着手できるよう、勧告を行いました。
ユルゲン・トゥリッテン(写真上)
ドイツの緑の党の前党首を務めたユルゲン・トゥリッテン、KFKの3人の共同委員長の1人です。 ドイツで原子力発電を終わらせることは、1980年に緑の党が結成された主目的のひとつでした。
ユルゲン・トゥリッテンはその創立メンバーのひとりですが、30年を超える活動の結果、彼は最終目的を達成することになったのです。
▽ 不満を表明した電力会社
原子炉の廃炉資金の調達を目的として設立されたKFKは幅広い文弥の人々のコンセンサスの形成を可能にするため、政治、産業、公務員、環境団体の代表者を含めて組織されました。
そして4月末に公表された報告書は11人のコミッショナー全員が採択に賛成しました。
これに対し大手電力会社4社のうちE.ON、RWE、EnBWの3社が、KFKの報告書の内容にすぐに不満を表明しました。
「KFKによる提案は発電を行っている各社に対し、経済能力を上回る負担を求めています。」
E.ONは声明でこう述べ、現段階では「この提案を受け入れることは不可能」だと述べましたが、具体的にどのような対応をとるかについては、専門家による詳細な分析を行った後で行うとしています。
しかしこの声明は一種の牽制である可能性があります。
政治家の一定の圧力の下で作成されたKFKの提案には各電力会社が負担すべき具体的金額が提示されていますが、電力会社には負担金額を低減させるための機会が与えられます。
その修正が加えられたうえで提案は内閣によって承認され、必要な立法措置が採られることになります。
ところがKFKの提案は電力各社に対しむしろ有利な内容であったと専門家が分析した結果が、株式市場の値動きに現れました。
KFKの発表直後、E.ONの株価は5パーセント急上昇し、RWEは8パーセント値を上げました。
▽ 訴訟と核廃棄・廃炉費用のねん出は別問題
E.ON、RWE、Vattenfall、EnBWの4台電力会社はこれより以前、最高裁判所(憲法裁判所)においてドイツ政府に対する訴訟をおこしていました。
この訴訟は2011年3月、日本において福島第一原発が3基の原子炉がメルトダウンする事故を起こしたことを受け、アンゲラ・メルケル首相がドイツが段階的に原子力発電所を全廃すると突如発表したことについて、憲法上の首相の権限を逸脱したものであるとしています。
訴訟で電力会社は合わせて数十億ユーロに上る逸失利益の補償を要求しています。
4社のうち、E.ONのCEOであるヨハネス・ティッセン氏はこの訴訟についてはこのまま続行するが、放射性核廃棄物の最終処分と全原子炉の廃炉に必要な費用をどう算定するかという問題と直接の関係は無いと語りました。
しかしEnBWはここにきてドイツ政府に対する訴訟を取り下げました。
同様の訴訟を行っているE.ONが勝訴できるかどうか、その見通しは未だ明らかではありません。
〈 完 〉
http://www.dw.com/en/german-utilities-to-pay-for-nuclear-waste-disposal/a-19218042 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +
原子炉を稼働させていた間の利益が分配されていた訳でもないのに、廃炉となったら国民がみんなでその費用を負担しろ(税金によって賄え)というのはあまりに理不尽だと思います。
なぜそうなるのか、原子力発電を始めた際、国民がはっきり『NO!』を突きつけなかったからに他なりません。
もっとも原子力発電所の建設が日本で始まった当初、福島第一原子力発電所のような事故が起きる可能性や原子力発電を行った結果高放射性廃棄物という極めて危険な核のゴミが発生し、その処理方法などは存在しないなどと言う事は一切広報されなかったに違いありません。
権力の座にある者が何事かを華々しく宣伝する時、最終的にどう決着するのか、どのような副作用があるのか、一般市民が目を光らせなければなりません。
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【 石に刻まれた世界のスピリチュアル 】《3》
ガーディアン 6月21日
最後の光、カッパドキア、トルコ、2002年作品(写真上)
『パルミラ宮殿が(イスラム国によって)破壊されてしまった時、絶望的な喪失感に襲われました。このカッパドキアの壮大な規模の石造りの遺跡が時の経過に耐えられなかったら、どんな思いがしたでしょうか?』
半分そぎ落とされた石人像、モンゴル、2004年作品(写真下・以下同じ)
エレイン・リンは経験を積んだ医師でもあります。カナダ、アブダビと、そしてネパールでも医師として働いたことがあります。
ミャンマー 2011年作品
ウェード・ディヴスはリンの作品集のまえがきにこう記しました。
「これらの石碑が私たちをひきつける理由は、古代の人々のひたむきな思いが極めて神聖な価値がそこに刻み込まれているからだと考えます。」
自画像 アタカマ砂漠 チリ 2001年作品
「これこそは石碑が持つパワーを完ぺきに表現するものです。それが一気に溢れだし、永遠の輝きを持ち、しかも人間の想像力と精神の素晴らしさを見事に表現しています。」
https://www.theguardian.com/artanddesign/gallery/2016/jun/21/talking-stones-elaine-ling-photographer-in-pictures
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