【 信頼されない日本政府・評価されるセイフキャストの線量調査 】
正しい情報が無ければ、人々はただ怯えるしかありません。
正しい情報があってはじめて、人は正しい判断ができるのです。
ワシントンポスト 7月9日
日本の人々が福島第一原発の事故後の放射線量について、『信頼できるデータ』として利用しているのが、アメリカ人の有志によって設立されたボランティア・グループの調査結果です。
このデータは日々オンライン上で、詳細な数値として更新されています。
ショーン・ボナーはロス・アンジェルス在住のコンピュータの専門家であり、セイフキャストの名で知られるボランティア・グループの設立者の一人です。
彼は2011年3月、日本の東北地方で地震と津波により福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンを起こしたが、充分な情報をつかむためには実際に現地に行ってみる以上の手段は無いはずだ、と語りました。
多くの日本人が放射能が人体に与える影響について、とりわけ子供たちに対する影響を恐れていました。そして自分たちの自宅や学校、会社は果たして安全なのか判断できず、心配だけが膨らんでいきました。
と同時に、政府や自治体などが、各地の放射線量について、一切情報を公にしないことに、いらだちを募らせていました。
自分たちで計測しようにも、ガイガーカウンターはどこへ行っても、売り切れていたのです。
数週間のうちに、ボナーと彼の仲間たちは、日本の弁当箱ほどの大きさの、GPS機能を併せ持つ手製のガイガーカウンターを制作し、『ビーガイギー』と名付けました。
この器械は5秒ごとに大気中の放射線量を計測し、車に取り付けることも可能であり、結果として膨大な量の計測データをもたらすことになりました。
30~35台の車載『ビーガイギー』が日本中を走り回り、320か所に『ビーガイギー』が設置され、測定を行ったのです。
セイフキャストは自ら技術開発を行った上その中身を公開し、技術提供を行いました。
そして日本中で、300万点にのぼる計測データを集めました。
ボランティアの協力により、オンライン上で地図化された計測データが公開されています。
「それまで、一般の人が利用できるデータがどこにも無かったこと、むしろそのことの方が驚きです。」
7月上旬、ボナーが日本のボランティアと打ち合わせをするため、日本に向かい道すがらこう語りました。
「私たちなら協力できる、そう思ったのです。」
セイフキャストは今は専ら日本国内の放射線量を測定していますが、ゆくゆくは世界中でこれを実施したいと考えています。
昨年一年間、そして今年、セイフキャストが打ち出した『その場所で暮らす人々に、環境中の放射線量に関する正しい情報を提供する、世界的ネットワーク』というポリシーは確実な成長をとげました。
この取り組みは規模の大きな基金からの、援助を得られることにもなりました。
『ジョンS.&ジェームズL.ナイト財団』は一般から寄付を募り、その資金を提供してくれたおかげで、日本国内の大学との提携も可能になりました。
セイフキャストと提携する福島県内の自治体も現れ、地元の学校や住民との新たな測定データの共有も始まりました。
参加するボランティアも増え続け、その国籍もヨーロッパ、日本はもとより、世界各国にまたがっています。
セイフキャストが作成した最新型のガイガーカウンターはスマートフォン並みの大きさと洗練された機能を有し、今年の後半にはアメリカの大手ガイガーカウンター製造会社のインターナショナル・メドコムから、製品化されたものが発売されることになりました。
日本政府、そして幾人かの日本の科学者たちは、放射線量の測定データを持っているにもかかわらず、日本国民に対し、セイフキャスト程積極的な情報提供を行おうとはしません。
日本で問題になったケースでは、政府は福島第一原発の爆発後、20キロ圏外の北西方向に放射性物質が飛散する予測を立てていたにもかかわらず、その情報提供を意図的に行いませんでした。
こうした日本政府の隠ぺい体質は、結果として避難民を危険な方向に避難させ、不必要な被ばくをさせてしまいました。
こうした度重なる隠ぺいは、政権を担当する人間たちが朝令暮改を繰り返したこととも相まって、国民の政府に対する不信感を増大させることになりました。そしてその分、セイフキャストに対する信頼が増していったのです。
福島県内で広告代理店を営む渡辺としかつさんの、セイフキャストに対する感謝にはただならぬものがあります。
「正しい情報が無ければ、人々はただ怯えるしかありません。」
渡辺さんは彼の自宅や会社だけではなく、付近の学校やその他の場所の放射線量の測定を行い、その情報を提供しています。
「私は自分ができることをしているだけで、計測された放射線量がどの程度、どのような悪影響を与えるのか、正確な知識を持っているわけではありません。」
「福島県の人々は、毎日毎日、放射性物質による汚染に向き合わされています。そして、これからもずっと、その状態が続くのです。」
標準的なガイガーカウンター以外にも、セイフキャストは簡易式の機器も使っています。
セイフキャストは、福島第一原発の事故以来、日本の人々の切実な願いに応えようとしています。明快な行動と迅速な情報提供は、人々の素早い判断と行動のために役立っています。
世界中から人々がやってきて、惜しみない協力を行っています。
セイフキャストは、日本が原子力発電を止めるべきか、それとも続けるべきかという問題には関わらないようにしています。
どちらか一方に肩入れすることにより、彼らが提供するデータは操作されているのではないか、とその客観性を、疑われないようにするため配慮しているのです。
中には、避難をしようとしていた人が、セイフキャストの測定データを確認して、避難が不要であることを知りその場所にとどまった例もありました。
「正しい情報があってはじめて、人は正しい判断ができるのです。」
ボナーがこう語りました。
「問題なのは、放射性物質の存在そのものです。これまで誰も、その存在にどのような注意も払っていませんでした。」
環境中には微量の放射性物質が常に、どこにでも存在することを指摘し、ボナーがこう語りました。
「普通の人間は、放射性物質に関して明確な判断基準など、持っていなくて当たり前なのです。」
http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/american-praised-for-collecting-japan-radiation-data-as-distrust-toward-government-builds/2012/07/09/gJQA1ggbXW_story.html
上記URLからは現在、記事が削除されています。
下記、セイフキャストのサイトをご参照ください。
http://blog.safecast.org/ja/
各地の放射線量の地図は下記にあります(縮小・拡大が可能です)。
http://gamma.tar.bz/maps/main/
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【人間の祭典、ロンドン・オリンピック】
アメリカNBCニュース 7月30日
[写真はすべてクリックすれば、大きな画像をご覧いただけます]
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