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【 現在の不況構造をアベノミクスで解決できるか 】《前篇》

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消費需要の弱体化と貯蓄過剰という停滞の構造的原因を、短期金利の緩和という通常の景気刺激策をもって解決することは不可能
生産年齢人口が縮小し始めたのと同時期の1990年代に、日本経済は停滞とデフレーションに陥っていた

エコノミスト 11月22日
グラフ[減少を続ける労働者]各国の労働人口の推移
Vanishing worker
1930年代、経済学者たちは10年近く続いている経済恐慌をどう説明すべきか考えたとき、人口の減少との間に相関関係があるのではないかという疑問を持つようになりました。

「人口増加から人口減少局面に入る転換は、経済に大きな打撃を与える可能性があります。」
1937年、著名な経済学者であったジョン・メイナード・ケインズがこう述べ、続く年もう一人の有名な経済学者のアルヴィン・ハンセンは、アメリカは人口減少、有力市場の縮小、そして新たなアイディアの枯渇と言う3重苦に見舞われていると懸念していました。
そしてその結果が長期停滞であったと語りました。
回復の兆しが見えず、窮迫する中で絶望感に見舞われ、極めて高い失業率にも全く改善の傾向が見られない状態が続く社会です。

そして21世紀になった現在、1年前にハーバード大学のラリー・サマーズ教授が、現在の最先進国に蔓延する経済の停滞状況について『長期停滞』という定義を復活させました。
彼は消費需要の弱体化と貯蓄過剰という停滞の構造的原因を、短期金利の緩和という通常の景気刺激策をもって解決することは不可能だとしています。

実態的人口統計学によるデータは、サマーズ教授が指摘する閉塞状態を証明するのに中心的な役割を果たすかもしれません。
事実、1930年代以上に。

ケインズ
人口の高齢化はいくつかの側面を通し、経済成長と金利の上昇を低下させる役割を演じます。
最も直接的なものは労働力の供給です。
その社会の経済の潜在的出力は、労働者と彼らの生産性の高低に依存します。
ドイツと日本では生産年齢人口は10年以上に渡り減少を続けており、その低下率は来たるべき数年間に加速度的に増えていく見込みです。
英国の潜在的労働人口は今後数十年間で増加が停止します。
アメリカは2000年から2013年まで0.9%の割合で労働人口が増加しましたが、今後その増加率は3分の1に縮小しますが、かろうじて増加傾向が続く見込みです。

この状況が今後も続くとすれば、先進国の労働人口は年率0.5%ずつ縮小を続け、ほぼ同じ率で経済成長率を低下させることになるでしょう。
その影響は徐々に現れてくるはずです。
一方で経済停滞により多くの労働者が早期退職を勧められたことにより、そのプロセスは一層早まる可能性があります。

アメリカでは最初のベビーブーマーたちが2008年に62歳を迎え、社会保障制度のもとで公的年金の受給資格を手にしました。
いくつかの研究結果によれば、アメリカにおいて生産年齢人口と求職者数が66%から63%以下まで低下した理由をこの事実が証明しているとしています。
これと同じことが日本ではすでに起きていました。
生産年齢人口が縮小し始めたのと同時期の1990年代に、日本経済は停滞とデフレーションに陥っていました。

2014選挙
そして人口規模と染ま年齢構成が、企業がどれだけの消費を市場に求めることができるか、そして労働者を確保することができるかを決定することになります。

ケインズとハンセンは共に人口の減少傾向が、アメリカ国内の産業が生産した製品への需要の減少という形で現れることを懸念していました。

現代の経済成長のモデルは、会社が1人当たりの労働者につきどれだけの資本を蓄えているかによってその結果が左右されるとしています。
設備投資、土地建物、そして、知的所有権がその経済の生産能力を決定するとしています。
雇用する労働者の数が少なければ少ない程、資本もまた少なくて済むのです。

連邦準備制度理事会の調査報告の中で、ユージェーニオ・ピントとステーシー・テヴリンは、ネット投資(総投資金額から)の総額が第二次世界大戦以降、最低水準に近づきつつあることに言及しました。
経済の停滞が企業の各種の拡大政策を停止させるようになって以降、資本投下額は周期的に変化してきましたが、今やその景気の停滞が長期化しています。
資本投下額は1994-2003年の10年間は年率3.1%増えましたが、2004-2013年は1.6%へと減速しました。

Abeno05
経済学者は現在の経済停滞の原因について、3分の1は労働人口の増加の停止、もうひとつの3分の1は技術革新の不足にあると考えています。
言い換えれば企業は設備を導入してもそれを動かす人間が減少していること、そして導入によって大きなメリットが乗じる技術的発展も無い以上、企業の設備投資は減少せざるを得ないのです。

< 後篇に続く >

http://www.economist.com/news/finance-and-economics/21633860-demography-may-explain-secular-stagnation-no-country-young-people?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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私は安倍政権の誕生以来、人口の減少と高齢化が進む社会でこの問題の解決を図ることなく、景気刺激策だけで経済成長は不可能だろうと思い続けてきました。

この記事は名指しで安倍政権を批判している訳ではあませんが、読めばアベノミクスというものが如何に『皮相的改革』であるかを理解することができます。

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