【 福島第一原子力発電所の核燃料アセンブリの取り出し : 東京電力は実現できる計画を立てているのか? 】
東京電力の設定した目標 - 事故収束・廃炉作業の日程は、あまりに現実離れしている
AP通信 / ワシントンポスト 11月18日
11月18日月曜日、東京電力福島第一原子力発電所の作業員が、破壊の跡が著しい原子炉建屋内から核燃料アセンブリを取り出す、非常に難しい作業を開始しました。
それはこれから何十年という時間がかかり、この先待ち受けている物が何であるのか確かな答えなどは無い事故収束・廃炉作業への、最初の一歩となる作業です。
質問 : 福島第一原子力発電所には、どれだけの量の核燃料があるのですか?
そして取り出しには、どれ程の年月が必要なのでしょうか?
答え : 原子炉1号機から4号機内に存在するのは、3,106体の核燃料アセンブリです。
1体ごとの核燃料アセンブリにはねウランを主原料とする核燃料ペレットを詰め込んだ核燃料棒が60本〜80本、挿入されています。
最終的なゴールは今後5年間で、1号機から4号機のすべての核燃料アセンブリを取り出す事です。
現在行われているのは、事故を起こし廃炉の対象となった4基の原子炉のうちの1基、4号機からの1,533体の核燃料アセンブリの取り出し作業です。
事故を起こした原子炉のうち、4号機だけはメルトダウンを免れましたが、これは4、5、6号機は2011年3月地震と津波が襲った際、稼働を停止していたためです。
原子炉4号機は当時炉心に核燃料アセンブリが装填されておらず、元々その場所にあった使用済み核燃料とともに、原子炉建屋内の地上30メートルの場所にある使用済み核燃料プールに保管されていました。
原子炉建屋は事故によって大きく損傷し、このため再度巨大地震が襲った際、倒壊する恐れがあるとして懸念が高まっていました。
質問 : 核燃料アセンブリはどのようにして取り出すのですか?
取り出された際、核燃料アセンブリはどのような状態になるのでしょうか?
答え : 原子炉建屋の側面と上部を覆うようにして、現在鋼鉄製の巨大なフレームが建造され、その内部に一基のクレーンが設置されています。
このクレーンを使い、核燃料アセンブリを一体ずつプール内の専用ラックから引き抜き、今回特別に制作されたキャスク(密閉容器)に収納します。
この密閉容器は一度に22体の核燃料アセンブリを収納する事が出来、この容器を使って核燃料アセンブリを別の安全な場所に搬送するのです。
そしてもう一基、フレームの最上部に設置されたクレーンを使ってキャスクを核燃料プール内から吊り上げ、原子炉建屋の外で待機しているトレーラーに積み込みます。
キャスクは2体用意されており、交代で地面の上に直接建つより安全な共用プールに運ばれていきます。
東京電力は今回の作業を専門に行う作業員のチームを6人編成とし、全部で36名の担当者を選任しました。
一連の作業を完了させるには数日かかりますが、東京電力は2014年末までには4号機の核燃料アセンブリ取り出し作業を完了させたいと語っています。
質問 : 今回の作業にはどのような危険が伴いますか?
答え : 核燃料プール内の核燃料アセンブリ、あるいは核燃料棒は引きちぎられたり、落下させたり、あるいは過度の振動などを与えたりすれば、内部から核燃料ペレットが散出する可能性があります。
これらの核燃料アセンブリは専用のラックからスムースに取り出せない可能性があるのです。
爆発の際、大きな破片が核燃料プール内に落下し、核燃料アセンブリや取り出し用の部品が損傷してしまった可能性があります。
そしてクレーンがキャスクを落下させる可能性もあります。
さらには事故後、核燃プールには火災炎上を防ぐため大量の海水が注入されたため、中には腐食してしまっている核燃料がある可能性もあります。
クレーンは安全対策として、取り出しの際一定以上の抵抗があった場合には、自動停止する仕組みを備えています。無理な力が加わって核燃料アセンブリが損傷するのを防ぐためです。
作業は水中で行われますが、水中カメラによって監視を続け、水中掃除機が小さな破片を回収していきます。
東京電力は昨年調査のため2体の未使用の核燃料アセンブリを回収しましたが、プール内の核燃料アセンブリはおおむね無傷である事を確認したと語っています。
質問 : 放射能放出の危険性はありますか?
答え : 東京電力と複数の専門家は燃料アセンブリまたはキャスクが輸送途上、地上に落下する事態が発生しても放射性物質が福島第一原発の外部に漏れだす可能性は極めて低いとしています。
現在福島第一原発の周囲数キロ以内に住んでいる人はいませんが、もし緊急事態が発生した場合には、移動距離が一日以内の場所にいる人々には、携帯電話などを使って避難を呼びかける事になっています。
質問 : 次のステップは、何ですか?
答え : 仮に事故を起こした1~3号機の核燃料アセンブリが物理的に取り出し可能だという事がわかっても、作業を行わなければならないエリアには、極めて高い値の放射線が充満しており、容易に近づける状態にはありません。
東京電力は次に3号機について、今回同様のフレームを原子炉建屋の周囲に建設し、上層階の核燃料アセンブリの取り出しを行い、2015年中には作業を終わらせたいとしています。
1、2号機については2017年の前期、この作業を終わらせる計画を立てています。
そして東京電力は1〜3号機のメルトダウンした核燃料の取り出しには、2020年の始めに取りかかるとしています。
しかし複数の専門家が、現在様々なトラブルが続発している事に加え、解け落ちてしまった核燃料の取り出しという作業そのものの困難さを考えれば、東京電力の設定した目標はあまりに現実離れしたものだとの指摘を行っています。
質問 : 原子炉5号機と6号機はどうなりますか?
答え : 2011年3月地震と津波が襲った際、この2基は定期点検のため稼働停止中で、メルトダウンなどの事故は起こしませんでした。
しかし全体の状況を考えれば、この2基も廃炉される事になるでしょう。
Online: http://tinyurl.com/qyqk8e5
http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/removing-the-fuel-rods-at-japans-fukushima-nuclear-plant-whats-at-stake-and-whats-next/2013/11/18/00b63288-503b-11e3-9ee6-2580086d8254_story.html
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衆参両院を秘密保護法案が通過し、日本の先行きはいよいよ怪しくなってきました。
しかし安倍自民党が政権を取れば、このような「手」を次々打って来るだろう事は、最初からわかっていたはずです。
であればこそ野党各党は、昨年12月の衆院選、今年6月の参院選において、自民独裁だけは許さない、その事をまず何よりも優先して、可能な限りの選挙協力を行い、国民の意思を生かせる体制を作るべきでした。
しかし。
国民自らが自発的に立ち上がり、昨年の夏最高潮に達した脱原発行動。
そのうねりを目の前にしながら、野党各党は党利党略を優先し、受け皿を作る事にことごとく失敗しました。
繰り返しますが、安倍自民党は想定内の行動に出ているだけの話なのです。
その内容について、民主主義的立場から善いか悪いかと問われれば、それは悪いに決まっています。
しかし数の力の行使を許す体制を作ったのは、第一に国民の意思の受け皿を作る事にことごとく失敗した現在の野党だと私は思っています。
党首を辞任すれば、それで責任は無くなるのでしょうか?
冗談じゃない、私はそう思います。
英国労働党のように候補者の人格に徹底的にこだわった上で、一軒一軒の家々を回って丁寧に議論をしているでしょうか?
野党なのに、庶民に接する際に、まさか大物政治家と同じように横柄な態度を取っていたりはしないでしょうね?
米国のJ.F.ケネディのように、キング牧師のように、国家とは何か?徹底的に悩んだ事がありますか?
原子力発電の廃止は国民の半数以上が望んでいる。
しかし安倍自民党が作ろうとしているのは、原子力発電復活の受け皿で、脱原発の受け皿ではありません。
なぜこうなるかといえば、野党各党が自民党に比べ、明らかに『素人』だからでしょう。
政治のプロだと自認するなら、行き場が無くなってしまっている『国民の声』に力を与える仕組みを作らなければなりません。
相手は『財界の声』や『権門勢家の声』に力を与えるプロなのですから。
「私たちはやるべき事をやっている」?
冗談じゃありません、やるべき事などやっていないのです。
だから原発も止まらないし、秘密保護法案も設立してしまうのです。
小泉元総理が反原発に舵を切ったのは、たくさんの国民がそれぞれの立ち位置から声を上げ始めたからです。
個人個人が自分たちでネットワークを作り、声を上げているからなのです。