『ビクビクものの木曜日』、それは新たなる経済恐慌発生への警告?〈前篇〉
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市場の健全性を歪める強引な政策、アベノミクス
ヒース・スチュワート(前篇)フィリップ・インマン(後篇)
オブザーバー / ザ・ガーディアン(英国) 5月26日
5月23日の株価急落は経済回復の道のりにはありがちな一時的な現象だったのか、それとも徹底した量的緩和策の先にあるものは国家経済の破綻なのか、オブザーバー誌の記者2人が解析を行いました。
▽ 破綻への懸念
日本銀行をはじめ、世界の中央銀行は今、大量の資金を世界市場につぎ込み続けていますが、人工的に株価や債券価格を釣り上げる操作は、将来、金融大恐慌を引き起こす要因をせっせと積み上げる行為を自ら行っている可能性があります。
世界の金融市場の中心地のひとつ、ロンドンのシティで悲観的見方をする関係者は以下のような観測を明らかにしました。
すなわち、先週起きた東京からウォール街、そしてロンドンのシティへと伝播して行った株価の急激な下落について、現在行われている金融緩和策がいったん緩められれば、ただちに株価・債券価格の下落につながることを警告するものであったと解説しているのです。
「現在の株価は、人為的に仕掛けられたような値動きをしています。現在の株価の動きが、世型経済の実態を反映したものでは無い、その点だけがはっきりしています。」
バンクオブニューヨークメロン証券株式会社のニール・メラーがこのように語りました。
シティの悲観的見方をする人々は、アメリカ経済の展望に明るい材料が無いにもかかわらず、株価だけが上昇している点を警戒しています。
最も重要な判断材料は、中国です。
購買担当者景況指数(中国の製造業の状況の重要な判断材料)の予想外の低い数値が、23日木曜日の株価急落の主要原因のひとつになりました。
2008年から2009年に起きた世界的な景気後退以前、いまや世界第2位の規模を持つ中国の経済は順調に2ケタの成長を続けていましたが、いずれその伸びが鈍化することは予測済みのはずでした。
しかしここに来て中国の各銀行の経営の健全性について、重大な懸念が顕在化してきたのです。
多くの銀行が大量の不良債権を抱え込んでいると見られているのです。
「多くの銀行がこの問題により、多数のトラブルを抱え込んでいる、そのことが容易に想像できる状態なのです。」
中国の経済状況は、いくつかの大きな経済圏にとって大切な要件です。日本は中国にとって巨大な輸出市場であり、オーストラリアは重要な資源の調達先です。
中国経済の減速が著しく進む、あるいはもっと悪い、なすわち金融市場の崩壊の兆候が少しでも現れれば、世界中の金融市場はたちまち大きな打撃を受けることになるでしょう。
次に懸念されるのがユーロ圏です。
キプロス緊急援助3月に同意され、欧州中央銀行が金利の引き下げを行ったことが信頼回復につながり、以降、ヨーロッパでは小康状態が続いているように見受けられますが、その実態は危機が去ったとはとても言えない状況にあります。
ユーロ圏は未だに深刻な経済停滞の中にあります。
そしてスロベニアからスペインに到る、根本的な問題が未解決の国々の長いリストはそのままです。
いつまた危機的状況に陥るか、一寸先は闇といった有り様なのです。
そして3番目が日本です。
日本の株式・債券市場ではこの数週間、安倍首相の名前から採られた『アベノミクス』と称される、公共支出の削減を止めて公共事業に大量の資金をつぎ込み、『衝撃的かつ圧伏させる勢いの』量的金融緩和政策が先月公表されたことにより、株価の上昇が続いています。
しかし、たとえその政策が功を奏したとしても、昨年末に比べて25%の価格上昇が実現されるほどの圧倒的成功を手にすることは難しいと思われます。
そして最後はより一般的な問題です。
日本銀行をはじめ、世界の中央銀行はこれまで過度の通過安政策を長期間続けれることは市場を歪めてしまうと警告してきたはずでした。
投資家はその国の市場から資金を回収し、「より高い利回りを求め」別の市場に資金を持ち去ってしまう傾向があります。
たとえば債券市場では、海外から融資を受けることができない国々であっても、債券市場であれば、投高額の利回りを目当てに投資家の方からやって来る、という事実を目の当たりにしています。
トルコ、メキシコ、ブラジルのような中規模の経済規模を持つ国々の資金調達コストが低下傾向にある一方で、アフリカのルワンダが4月に行った国債の募集では、7回以上申込み件数が募集口数を大幅に上回りました。
こうした現象は問題を抱える国にとっては喜ばしい現象ですが、連邦準備制度理事会 (FRB) のベン・バーナンキ議長にいわせれば、「あまりにリスクの大きい冒険的な投資」という事になります。
今後の展望がどうであれ、シティの投資顧問会社のファスロムのアナリストが名づけた『ビクビクものの木曜日』は世界中の投資家に対し、市場には不安定要因が積み上がっているという事実を注視するよう、呼びかけたものと見る必要があるようです。
「限られた期間とはいえ市場がこれほど敏感に反応したのは、本来中立的立場をとるべき中央銀行がゼロ金利政策と前例のない金融緩和措置という不健全な政策を2つとも採用し、市場がゆがんでしまっているという事を、関係者が明らかに意識しているからなのです。
だからこそ、ちょっとした変化で一斉に株価が下がったりするのです。」
ロンドンの金融街の専門家たちが、口をそろえてこう語りました。
http://www.guardian.co.uk/business/2013/may/26/jittery-thursday-global-economic-crash?INTCMP=SRCH
『ビクビクものの木曜日』、それは新たなる経済恐慌発生への警告?〈前篇〉: 市場の健全性を歪める強引な政策、アベノミクス ヒース・スチュワート(前篇)フィリップ・インマン(後篇) オブザーバー / ザ・ガーディアン(英国)… http://t.co/X5xFbGY2U0
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「市場の健全性を歪める強引な政策、アベノミクス」
オブザーバー / ザ・ガーディアン(英国) 2013年5月26日
『ビクビクものの木曜日』、それは新たなる経済恐慌発生への警告?市場の健全性を歪めるアベノミクス ザ・ガーディアン 日本銀行をはじめ、世界の中央銀行は今、大量の資金を世界市場につぎ込み続けていますが、将来金融大恐慌を引き起こす要因。 http://t.co/hDzMx22lIs