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【 放射線が子どもたちを攻撃するメカニズム・第2部 】《3》

読了までの目安時間:約 8分

こどもたちの命にかかわる問題の存在までが隠ぺいされている
フクシマ程甲状腺がんの発症割合が高い場所は、世界中でチェルノブイリ周辺以外にはない
事故前は国内最低だった福島の甲状腺ガン発症比率、事故後突出して高くなったにもかかわらず、放射線との関連を認めない『専門家』

フェアウィンズ 7月7日


マーガレット・ハリントン :
それでは福島第一原発の事故が発生した際、原子力発電所の周辺住民が事前に配布されていなければならなかったヨウ素剤の準備が全くなされていなかったことについて検証しましょう。

マギー・ガンダーセン :
さて、ヨウ化カリウムは人間の甲状腺に無害なヨウ素を吸収させることにより、放射線影響を緩和して甲状腺ガンの発症を予防する働きがあります。
しかし内部被ばくを防いだり、放射性物質が放つ放射線から皮膚を守ったりする効果はありません。
飽くまで甲状腺がんだけに対してのみ効果が期待されるものですが、特に甲状腺がんを発症しやすい女性や子供たちを守る際に一定の効果が期待できます。
しかしアメリカでは第二次ブッシュ政権時代、原子力発電所が事故を起こせばきわめて重大な事態が起きるという現実を住民に突きつけて怯えさせないようにするため、そのヨウ化カリウム(ヨウ素剤)の準備すらやめてしまったのです。
そうです、住民を放射線の脅威から守る代わり、原子力産業の印象を守るという選択です。
そして福島で3基の原子炉がメルトダウンした時に起きたことも、まさにその通りの出来事でした。

線量調査の列
日本の官僚機構は福島の住民を守るためのヨウ素剤の必要性の説明と配布を行いませんでした。
理由は上からの命令が無かったからです。
結局ヨウ素剤は配布されず、多くの子どもたちが甲状腺がんを発症するという結末を迎えてしまったのです。

マーガレット・ハリントン :
福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンしたことによって、福島の子どもたちの甲状腺がんの発症割合が高くなったという点について、さらに詳しい検証が必要なようですね。金子さん、あなたはこの問題について詳しい説明が出来ますか?

金子チホ :
ええ、福島県は福島第一原発の事故が発生した当時18歳以下だった子供たちの甲状腺がんの発症状況について追跡調査を続けています。該当するのは約300,000人の子供たちです。
最新の調査では172人 – 彼らは現在青少年といった年代に達しています - が甲状腺がんの発症が確認されるか、あるいは発症している疑いを持たれています。
このうち131人がすでに切除手術を受けました。
これはかなりの数です。
福島第一原発の事故が発生する以前、子どもたちに甲状腺がんが発症する確率は100万人に1人ないし2人でしたから、それと比べれば大変多い数であるはずです。

112813
マギー・ガンダーセン :
福島県の子どもたちの甲状腺がんの発症割合は、福島第一原発の事故以前は全国で最低レベルでした。現在は全国で群を抜いて高くなっています。

金子チホ :
問題なのは、こうした事実が何を意味するものなのか文政する立場の『専門家』達の行動です。
今日でさえ彼らは、子どもたちの甲状腺がんの発症割合が非常に高くなっているという事実について、放射線との因果関係を結論づけることは難しい、そう言い続けているのです。

マギー・ガンダーセン :
それはまったく偽りであることは明らかです。
世界中にそれ程甲状腺がんの発症割合が高い場所は、チェルノブイリ周辺以外ありません。
原子炉のメルトダウンが始まるとその早い段階で放射性ヨウ素が放出されることになります。
そして放射性物質はあらゆる配管からあらゆる廃水から漏れ出し、あるいは放出されて、人間の甲状腺を攻撃することになるのです。

GRD14
マギー・ガンダーセン :
おっしゃる通り、フクシマでは組織的に放射線の影響の事実が隠ぺいされています。
私たちはその目撃者です。
オバマ大統領はつい最近、ヒロシマへの歴史的訪問を実現させました。
しかし私は次のことは見過ごせない事実だと思っています。
オバマ大統領は広島における放射性障害については一言も言及しませんでした。
さらにはフクシマで起きたメルトダウンについても一切触れようとはしませんでした。
それはすなわち、事実の存在そのものを否定する行為です。

マギー・ガンダーセン :
オバマ大統領は日本に原爆を投下したことについて、日本の人々に対する謝罪は行いませんでした。私個人の感想を言わせていただければ、非常に失望しています。
アメリカの政府関係機関に残されている記録を検証すれば、原爆投下の本当の目的は戦争を終わらせることではありませんでした。
戦争そのものは実質的にはもう終わっていました。
しかしロシア人たちにアメリカは原爆を開発する技術を持っており、その威力はこれだけのものなのだという事を見せつけるためのものでした。
しかしその技術とはただただ破壊と殺戮をするためのものでした。
アメリカはこの点を謝罪すべきだったと私は考えています。

オバマ広島訪問02
そしてもう一点、オバマ大統領は福島第一原発についても一切言及しませんでした。
私は米国原子力規制委員会、エネルギー省、そしてアメリカ政府の諸機関が、フクシマの事実の隠ぺいに加担していると信じています。
アメリカ政府は核燃料の再処理施設の稼働を維持するために資金提供を行っていますが、その財源はアメリカ国民が納税したものです。
しかしアメリカ国民の80%は核燃料の再処理施設の閉鎖を望んでいます。
さて私はアメリカ国民としての立場から原子力・核兵器、政治権力とカネに関する私の見解を述べさせていただきましたが、金子さん、日本人としてのあなたの見解はどのようなものですか?

《4に続く》
http://www.fairewinds.org/nuclear-energy-education//children-suffer-nuclear-impact-worldwide-part-2
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【 8月2日の報道社員から 】

アメリカNBCニュース 8月2日

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リオデジャネイロの競技場で練習するドイツのトラック競技自転車チーム。(写真上)

イスラエル北部のアクレを取り囲む古代の城壁から地中海に飛び込むアラブ人の少年たち。(写真下)
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http://www.nbcnews.com/slideshow/today-pictures-august-2-n621911

【 世界に蔓延する暴力・状況をさらに危険にする過剰反応 】

読了までの目安時間:約 9分

理不尽な暴力に苦しみ続ける世界にあって、日本は著しく安全
『危険な現実』に対する誤った対応は、弱い立場の人々に無用の不信感と恐怖心を植えつける

エコノミスト 7月30日

ECO相模原施設
理不尽な暴力に苦しみ続ける世界にあって、日本は著しく安全です。
強盗事件は珍しく、殺人事件の発生率も低い状態を保っています。
警察は1億2,600万人の人口を抱える国で発生した、昨年の銃犯罪の被害者は1人であったことを発表しました。

日本で怒りや狂気に支配された人間が選択し得る武器はナイフです。
7月26日一人の若い男が障害者施設に押し入り、この数十年間で最悪の大量殺人事件を引き起こしたとき、その手に握られていたのもやはりナイフでした。
犯人はベッドに横たわる40人の障害者を次々とナイフで刺し、19人を死亡させました。
大部分の犠牲者の致命傷は首に集中していました。

相模原01
警察は元施設職員だった26歳の植松聖容疑者の単独犯行と見ています。
犯人は自首した後、現在逮捕勾留されています。
植松容疑者は、障害をもった人々を殺すと繰り返し脅迫していました。

今年2月、植松容疑者は他人の介護を受けなければ生きていけない人々はすべて安楽死させるべきだという計画について説明する手紙を書きました。
植松容疑者はこの手紙を自ら参議院議長の自宅のポストに投函しました。

どこの国の人間であれ、大量殺人を犯す人間の病理学的特徴には固有のものがあります。
ほとんどの場合犯人は若い男であり、行動を駆り立てているものは怒りとテストステロンです。

多くの場合、大量殺人という愚劣で許しがたい行動の伏線になっているものは、犯人自身をその日常 –たとえば失業している等 - から解放したいという衝動です。
何本もナイフを入れたバッグで武装した植松容疑者が真夜中車を運転して福祉施設に到着した際、彼は自分の脳裏にあるものを明確に認識していました。

相模原03
植松容疑者は障害者に接する際の態度を問題とされて解雇されたと伝えられていますが、それ自体は驚くべくことでも何でもありませんが、本人の心の中には障害者に対する悪意が潜んでいた可能性があります。
植松容疑者に対しては今年始め短期間の強制入院の措置が取られましたが、その後は家族の世話に任せられることになりました。

今回の事件により、日本ではバブル崩壊後の世代、日本の停滞が続いている時代に成長した子供たちに対するより多くの詳細な調査を誘発することはほぼ間違いありません。

2008年6月、当時25歳だった加藤容疑者が東京都内の歩行者天国を歩いていた大勢の買い物客の中にトラックで突っ込み、その後トラックから飛び出してナイフで大勢の人にナイフで切りかかり、7人を殺害しました。
加藤容疑者は身分保障が不安定な非正規雇用労働者であり、25歳にしてすでに自分の人生が渦を巻くようにして落ち込んでいく一方であるかのような感覚を持っていました。
彼は犯行後、こう語りました。
「私が犯した犯罪の全責任は、(社会にではなく)自分自身にあります。」

DAY01
加藤容疑者による大量殺人事件の後、刃渡り6cm以上のナイフを持ち歩くことが禁止されるなど、こうした残虐な事件は厳しい規制が導入されるきっかけとなり、日本も世界の他の場所同様安全ではなくなったという感覚を抱かせるようになったのです。
しかし統計結果は異なる事実を伝えています。
犯罪の発生件数は、昨年、戦後の最低を記録しました。
そして日本は、他のほとんどの先進国の中で、市民が投獄されている割合は最低です。

もっとも危険なのは、過剰反応です。
2001年大阪で学校の元事務員が、包丁でおおさかでを使って8人の小学生を殺害しました。
宅間守の残虐な行為は、今日専門の警備員がいくつかの学校の外で警備の目を光らせる環境を作りだしました。

クルド 6
これは何百万という子どもたちに、今生きている世界は恐ろしい場所なのだという事を印象づける悲しむべき光景です。

事件の後日本最大の発行部数を持つ読売新聞は、知的障害者の施設がこうした先例に倣う可能性があると伝えていました。
確かに障害者の施設は害意のある者の侵入などは想定してはおらず、門もドアも侵入不能と言う訳ではありません。

しかし設備面での警備をいくら強化しても、社会の中での自分の不安定な立場に苛立ち害意を抱いた人間から誰かを守るという事は、きわめて難しい問題です。

http://www.economist.com/news/asia/21702806-massacre-care-home-risks-provoking-overreaction-still-safe
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【 放射線が子どもたちを攻撃するメカニズム・第2部 】の連載途中ですが、一回この原稿を間に入れさせていただきます。
【 放射線が子どもたちを攻撃するメカニズム・第2部 】《3》は8月5日に、以降順番に再び連載させていただきます。

日本の社会において外される若者を作ってはならないという主張を、エコノミスト誌は年来繰り返してきました。
疎外されて孤独感を募らせ、やがて自分を受け入れない社会に対し害意を抱くようになる、その連鎖を作ってはならないという事です。
今回の事件は少し性格が異なる可能性がありますが、暴力の問題の根幹であることは納得できます。

これに対し日本のメディアはどうだったでしょうか?
私が最悪だったと思うのは、日本のメディアがこぞって『勝ち組、負け組』という『分類』をしたときでした。
経済的成功を手にしたものだけが『勝ち』という判断、そこには英知も何もあったものではありませんでした。

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【 アウシュヴィッツで黙とうを捧げたローマ法王フランシス1世 】

ロイター / アメリカNBCニュース 7月29日

アウシュヴィッツ01
7月29日金曜日、ポーランドのアウシュヴィッツ強制(絶滅)収容所の入り口ゲート近くのベンチで、フランシス法王は背中を丸め、第二次世界大戦中ナチス・ドイツ軍によって毒ガスを使って殺害されたユダヤ人を始めとする150万人の犠牲者に黙とうを捧げました。

世界中のカトリック信者の若者が集う大会のためにポーランドを訪れたフランシス1世は、滞在3日目、101歳の女性を含むアウシュヴィッツの生存者12人と静かに会話を交わし数分間一緒の時間を過ごしました。

生存者の1人の男性が、他の囚人とともに収容所内で撮影された自分の写真を差し出し、法王にサインを頼みました。

アウシュヴィッツ02
心を傷めていた様子のローマ法王は、生存者ひとりひとりにキスしました。

アルゼンチン人の生まれの79歳の法王はアウシュヴィッツ内の単調な通路を通って絶滅収容所内を見て回りましたが、改めて声明などを発表することはしませんでした。

ポーランドを占領していたドイツ軍はポーランド第2の都市クラクフ郊外にアウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所を準備しました。
1940~1945年、アウシュヴィッツはバラック、作業所、ガス室と火葬場などから形成される総合施設へと巨大化して行きました。

アウシュヴィッツ03
アウシュヴィッツへの訪問者のためのノートに、フランシス1世はスペイン語で次のように書き込みました。
「主よ、人々に慈悲をお与えください。 主よ、人間をこうした虐待行為から解き放ってください。」

http://www.nbcnews.com/news/world/pope-francis-offers-silent-prayer-auschwitz-n619726



【 放射線が子どもたちを攻撃するメカニズム・第2部 】《2》

読了までの目安時間:約 10分

福島第一原発の事故前、放射線量が1キログラムあたり100ベクレルを超えれば、その物質は核廃棄物だった
事故で放出されたセシウム137の半減期は30年、しかし物理的に10分の1の量になるまでには100年かかる

フェアウィンズ 7月7日



金子チホ :
まず1キログラムあたり8,000ベクレルの放射性物質という事を念頭に置いてみます。
この数値はいったいどういうものでしょうか?
さて、福島第一原子力発電所の事故が発生する以前、日本では1キログラムあたり100ベクレルを超える土砂はキャスク等の密閉容器に入れ、原子力発電所などの核関連施設内で保管されなければならないと規定されていました。
つまり1キログラムあたり100ベクレルを超えれば、その物質は核廃棄物だったのです。
その程度の『核廃棄物』は日本中至る所にあります。

実例をご紹介すると、福島第一原発の事故後アーニー・ガンダーセン氏が日本の経済産業省の敷地の土壌のサンプルを採取し、その放射線量を測定したことがありました。
その結果は1キログラム当たり4,000~5,000ベクレルという値でした。
つまり規定の40倍を超える放射性物質に汚染されていたのです。

アーニー・ガンダーセン
マーガレット・ハリントン :
アーニー・ガンダーセン氏はフェアウィンズ・エネルギー・エデュケイションのチーフ・エンジニアであり、今年に入ってからも約1ヵ月間、日本で調査旅行を行いました。

マギー・ガンダーセン :
彼は約1カ月をかけて土壌調査を行いました。
科学者の協力の下、福島と東京で調査を行い、採取されたサンプルは研究機関に送られました。
研究結果がまとまれば、直ちにフェアウィンズとしての見解を添え、公表する予定です。

マーガレット・ハリントン :
そして金子さん、事態は改善に向かっているのではなく、悪化しているという事なのですね?

金子チホ :
そうです。間違いなく自体は悪化する傾向にあります。
放射性物質にはそれぞれ半減期があり、放射性崩壊により放出される放射線量は徐々に減少して行きます。
問題となっているセシウムにも半減期があります。

111005
マギー・ガンダーセン :
セシウム137の場合、半減期は30年、物理的に10分の1の量になるまでには100年かかります。

金子チホ :
その通りです。しかしセシウム134のように、半減期の短いものもあります。

マギー・ガンダーセン :
そうですね、セシウム134の半減期は2年、ほぼ完全に消滅するまでには約20年かかります。

マーガレット・ハリントン :
日本では食物中からセシウムが検出されているのですか?たとえば牛乳とか?

マギー・ガンダーセン :
牛乳から検出されたのはストロンチウム90です。
セシウムは肉と魚から検出されました。ストロンチウム90は化学組成がカルシウムと似ているため、人体に入り込むと骨の中に蓄積され、セシウムはカリウムに誤認されて筋肉内に吸収されます。

マーガレット・ハリントン :
セシウムに関する限り、その量は減少を続け、それに応じてその影響も小さくなっているという事ですね。しかしもっと大きな、そして長期的な観点から考え場合どうなのでしょうか。放射性物質の中には環境中に数百年、数千年の単位で残るものがあるとおっしゃいましたね。

DW01
マギー・ガンダーセン :
環境中の放射性物質について考えるとき基準となるものが2つありますが、そのひとつがベクレルという単位です。
アーニーとベクレルという単位をどうすれば実感として理解できるかという話をしていました。
彼はたとえば環境中の放射線量が8,000ベクレルという単位は、毎日一時間ごとに8,000粒の雨粒を浴びている状況を想像すれば良いと語りました。
この値は日本政府が認めている数値ですが、実際に子供たちが遊ぶ場所で確認されたのはもっと高い数値でしたね、キャロラインあなたがおっしゃったのは24,000ベクレルでしたか?

キャロライン・フィリップス :
ええ、27,000~33,000ベクレルです。

マギー・ガンダーセン :
つまり子供たちはそうした量の放射性物質が含まれている地面が続く場所で遊んでいれば、ずっと放射能の雨、あるいは放射能のシャワーを浴び続けるのと同じ状況に置かれることになるのです。

キャロライン・フィリップス :
ずっととは、具体的に言えば『繰り返し』という事です。

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マギー・ガンダーセン :
そしてキャロラインは、米国環境保護庁がらみで現在アメリカで起きていることについて、皆さんにお伝えすべき情報を持っています。

キャロライン・フィリップス :
そうですね、先ほど金子さんが日本の状況について説明された時、100ベクレルが8,000ベクレルになったという事でしょうか。

金子チホ :
その辺は少し込み入った話になりますので、あとでご説明したいと思います。

キャロライン・フィリップス :
解りました。ではアメリカの話をしましょう。
日本同様、アメリカでも放射線に関する安全基準が変更になり、今度被ばくの限度が引き上げられることになりました。
6月初旬、環境保護庁(EPA)が放射線被曝に関するアメリカ合衆国としての許容限度を引き上げるよう提案を行うと発表しました。
そして現在7月25日までパブリック・コメントを募集しているわけですが、実は今回の被ばく限度量の引き上げは2度目のものになります。
引き上げられた結果は2倍などというものではなく、これまでの規準の実に25倍というものです。
これを具体的数値を用いて説明すると、かつての基準に基づけば一人の人間が被ばくして良い量は年間4ミリレムでした。

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それが今回の環境保護庁(EPA)の改定では最終的に500ミリレムにまで引き上げられてしまいます。
これは幼児や妊娠している女性、高齢者や看護師などの職業の人々にとっては緊急事態的な数値であると言えます。
これは言い方を変えれば、もしアメリカ国内で原子力発電所のメルトダウンのような事態が発生すれば、周辺の人々はこれまでの25倍以上の放射線被ばくをアメリカ政府が許容するという事です。
興味深いのは環境保護庁(EPA)がこの引き上げの理由として、目的はただ周辺住民と事故現場で対応を行環なければならない国や自治体の職員の安全を守るための規準を提示することだけである、という点です。
福島第一原発のメルトダウンの時、こうした人々の身に起きたことは何だったでしょうか。
被ばく線量の規準も何も、事故が発生して瞬く間に人々は無防備なまま、放射線に被曝してしまったのではありませんか?

金子チホ :
その通りです。

《3に続く》
http://www.fairewinds.org/nuclear-energy-education//children-suffer-nuclear-impact-worldwide-part-2
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第一部についても翻訳してご紹介するつもりでしたが、参院選の海外メディアの報道等をご紹介したりしているうちに、第二部が公開され、未掲載のままでいます。
機会があれば、翻訳・ご紹介したいと考えています。
第二部も出来るだけ続けてご紹介するつもりですが、間に別の記事のご紹介を挟むことになるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

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【 山林火災を煽るカリフォルニアの乾いた風 】

アメリカNBCニュース 7月27日

DRY01
7月22日に発生したカリフォルニアの山林火災は折からの乾いた強い風にあおられ、100平方キロに近い面積を焼失させました。

7月27日カリフォルニア州ビッグスルで山林火災と戦う消防士。(写真上)

7月23日迫って来た山林火災を前に避難するカリフォルニア州サンタ・クラリタの住民。(写真下・以下同じ)
DRY02
7月23日火災が間近に迫り、一時消火活動の手を止めて自分の身を守る消防士たち。
DRY03
火災ですべてが消失したベア・キャニオンの山道を行く消防車。
DRY04
http://www.nbcnews.com/slideshow/dry-windy-conditions-fan-california-wildfire-n616271

【 放射線が子どもたちを攻撃するメカニズム・第2部 】《1》

読了までの目安時間:約 10分

子供たちには放射線の影響が出やすく、その手も頭もおとな達より汚染された地面に近いという事を常に念頭に置くべきである
放射性核廃棄物の仮置き場にされた土壌から、27,000ベクレル~30,000ベクレルの放射性セシウムを検出

フェアウィンズ 7月7日



原子力発電の継続により子供たちが健康被害を被っているのは間違いなく現実のできごとです。

CCTVのマーガレット・ハリントンがホストを務め、フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション代表のマギー・ガンダーセンさん、そしてキャロライン・フィリップスさん、金子チホさんにご参加いただき、原子力発電所の稼働と、際限もなく積み上がり続ける核廃棄物により世界中の子どもたちの健康が危険にさらされている問題についてのディスカッションの第2部をおおくりいたします。

日本では福島第一原発の3基の原子炉により生み出された高放射性核廃棄物が『臨時保管場所』とされた学校の校庭に積み上げられています。
日本の環境省は放射能によって汚染された土砂を、舗装道路の下層部分にリサイクル使用することを許可しました。
そして米国環境保護局(EPA)は現在の一般市民の被ばく限度量を一気に25倍引き上げる、新しい放射線制限を導入しました。

女の子02
フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイションの女性メンバーの手になる『原子力発電の無い未来』をご覧いただき、こともたちを放射線の被害から守るための手立てについて学んでいただきたいと考えています。

マーガレット・ハリントン :
こちらはヴァーモント州バーリントンにあるメディアと民主主義のためのニュースステーション、チャンネル17です。これからご紹介するのは『原子力発電の無い未来』シリーズのディスカッションです。
今回の主題は原子力発電所が原因の健康被害に世界中の子どもたちが苦しんでいる状況についてです。
それではマギー・ガンダーセンさん、第一部(星の金貨未翻訳)同様、議論を始めてください。
前回の議論を引き継ぎ、総合的に検証を進めていきたいと思います。
この点から、原子力発電が子供たちに及ぼす脅威について、あなたが最初に思い浮かぶことについてお話しいただけますか?

NBC福島03
マギー・ガンダーセン :
大手メディアがこの問題について取り上げようとしないだけに、こうした機会を与えてくれたことについてまずはお礼を述べたいと思います、マーガレット、ありがとう。
そして真実を明らかにする機会を作っていただいたことにも感謝します。
まず最初に申し上げなければならないのは、子供たちの体は大人よりもはるかに放射線に敏感であるという事実です。
この事実が意味するところ、それは子供たちには放射線による影響が出やすいということなのです。

子どもたちが放射線を浴びた場合には、より早く症状が現れます。
しかも放射線を吸収しやすいのです。
これこそが最も懸念される問題なのです。

ところが放射線に関わる全ての規準は、体重160ポンド(約72.5キログラム)以上の男性がもとになっていることをご存知ですか?
それが事実なのです。

Fukushima children
子どもたちがどのような状況にあるのかが実際には検証されていません。
それこそが本当の悲劇です。
放射性物質に汚染された土壌の上で、子どもたちの頭は大人よりも常に低い位置に有ります。
埃が舞い上がる路上で靴ひもを締め直すためにかがみこむこともあるでしょう。いつも指をなめている子供もいます。
そうなれば当然、子どもたちにはおとな達より一層内部被ばくも外部被ばくも、その危険性が大きくなります。

金子チホ :
私は肉体的ダメージと同程度に社会的ダメージという問題がそこに加えられるべきだと考えています。
私は最近、福島県が避難している人々に対する調査を行い、その結果に関する報道を目にしました。
回答者の内、47%がひとつの家族が2か所以上の場所で生活していることが明らかになりました。
これは父親が従来の生計手段があった場所に留まり、母親と子供はどこか別の場所で生活しているということです。

101406
私が思うにそうしなければならない最大の理由は、子どもたちの健康への懸念です。
父親の方は事故発生以前と同じ職場で働くことに義務感にも似た感情持っているようです。
そして彼らは自分の妻と子供たちがどこか別の場所で生活していることを同僚などに話すことをためらっているようです。
その理由はそうした行為が復興への取り組みに対し、何か水を差すような、後ろ向きの姿勢ととられることを恐れているからだと考えられます。

こうして子供たちは2つの異なるメッセージが存在する社会の中で育っていくことになります。
その上家族は引き裂かれたままの状況にあります。
とてもとても正常とは言えない家庭環境の中で生きていかなければならない状況にあるのです。

都路町帰還05
マーガレット・ハリントン :
そうした状況にも関わらず日本政府は現在、避難家族に被災地に戻っても良いと告げているのです。

金子チホ :
その通りです。
再び問題が作り出されようとしています。
一方ではもう戻っても大丈夫だと言いながら、もう一方では大量の器材、人員などをつぎ込んでいわゆる『除染』と呼ばれる作業に必死です。
除染は樹木の表面を削ったり切り倒したりして、空間放射線量や土地の表面の線量を減らそうというものです。
もしそれで本当に生活空間の安全が確保されたのであれば、人々は何もせずに安心して生活してよいはずです。
しかし現実は政府が言った通りの状況ではありませんし、計画通りの結果が出ている訳でもありません。
除染には多額の予算がつぎ込まれています。
みなさんはこの点についてどうお考えになりますか?
それで本当に良いのでしょうか?それとも被災地はもう安全になったのでしょうか?

福島第一原発の事故によって発生した汚染土や核廃棄物に関するたくさんの報道があります。
それは特に福島第一原発のある東北地方を中心に、日本全国いたるところにあるのです。
そしてキャロライン、福島の学校に問題について話したいことがありますか?

廃棄物
キャロライン・フィリップス :
ええ。福島県内の高校で、敷地内の土壌の汚染状況について、ある教師が2つの非営利団体(NPO)の調査の結果について語っています。NPOのひとつは福島県に、もうひとつは東京都に拠点があります。
ひとつではなく、ふたつのNPOによって調査が行なわれた結果、その信頼性が増すことになったと判断することが出来ます。
様々な試験を行った結果、学校の敷地内の土壌から、1キログラム当たり27,000ベクレルから30,000ベクレルの放射性セシウムが検出されました。
これに対する日本政府の反応は次のようなものでした。
『もとより8,000ベクレルを超える汚染土が存在し、その処理が必要なことは理解している。それは現在臨時保管場所に保管され、さらに今後は永久処分場に向け搬出される予定のものである。ただし永久処分場は未だ確保されていない。』
しかし臨時保管場所というのは、学校の敷地に他ならないのです。

NBC 4
《2に続く》
http://www.fairewinds.org/nuclear-energy-education//children-suffer-nuclear-impact-worldwide-part-2
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普通の人よりも多くの課題を抱えながら懸命に生きている人を無差別に殺害するなど、胸が悪くなるような事件が相次ぎ、世界各地の報道写真もその状況を反映したものになっています。
そんな写真をまたここでご紹介する気にはなれず、以下の1枚だけをご紹介します。

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【 歓迎、ローマ法王 】

アメリカNBCニュース 7月27日

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民俗舞踊の衣装をまとって、ポーランド、クラクフ市内の空港で、ローマ法王フランシス1世の歓迎リハーサルをする少女たち。フランシス法王は世界中から若いカトリック教徒が集まるイベントに参加するほか、アウシュヴィッツ強制収容所を始め、信仰心が篤くカトリック関係の遺跡などが多く残るポーランド国内の各地を訪問することになっています。
ポーランドは法王による一連の東ヨーロッパ巡遊の最初の訪問国です。

http://www.nbcnews.com/slideshow/today-pictures-july-27-n618371

【 原発の放射性核廃棄物の処分と廃炉、巨額の費用は誰の責任?】《後篇》

読了までの目安時間:約 7分

完全解体・完全廃炉か、それとも隔離封鎖(石棺)か?
電力会社には原発を建設・運転する能力はあっても、完全廃炉にするだけの力は無い?!

ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送)4月27日

廃棄物(ドイツ)
原子力発電所の廃炉についてこれまで電力会社に対しては、2つの選択肢が与えられていました。
ひとつは使用済み核燃料を処分した上で原子力発電所の設備すべてを解体撤去し、敷地全体を除染・整地までを行う完全廃炉、もうひとつは施設全体をフェンスで覆って永久に封鎖し、許可なく人が近づかないようにする隔離封鎖、いわゆる石棺です。

しかしKFKは今や隔離封鎖は選択肢に含むべきではないと勧告しています。
これにより、ドイツ国内のすべての原子力発電所は完全廃炉される予定になっています。
この廃炉の財源を確保するための委員会は、ドイツ政府が可能な限り早く原子力発電所の完全廃炉の作業に着手できるよう、勧告を行いました。

ドイツ緑の党党首
ユルゲン・トゥリッテン(写真上)
ドイツの緑の党の前党首を務めたユルゲン・トゥリッテン、KFKの3人の共同委員長の1人です。 ドイツで原子力発電を終わらせることは、1980年に緑の党が結成された主目的のひとつでした。
ユルゲン・トゥリッテンはその創立メンバーのひとりですが、30年を超える活動の結果、彼は最終目的を達成することになったのです。

▽ 不満を表明した電力会社

原子炉の廃炉資金の調達を目的として設立されたKFKは幅広い文弥の人々のコンセンサスの形成を可能にするため、政治、産業、公務員、環境団体の代表者を含めて組織されました。
そして4月末に公表された報告書は11人のコミッショナー全員が採択に賛成しました。
これに対し大手電力会社4社のうちE.ON、RWE、EnBWの3社が、KFKの報告書の内容にすぐに不満を表明しました。

01ドイツ・反原発
「KFKによる提案は発電を行っている各社に対し、経済能力を上回る負担を求めています。」
E.ONは声明でこう述べ、現段階では「この提案を受け入れることは不可能」だと述べましたが、具体的にどのような対応をとるかについては、専門家による詳細な分析を行った後で行うとしています。

しかしこの声明は一種の牽制である可能性があります。
政治家の一定の圧力の下で作成されたKFKの提案には各電力会社が負担すべき具体的金額が提示されていますが、電力会社には負担金額を低減させるための機会が与えられます。
その修正が加えられたうえで提案は内閣によって承認され、必要な立法措置が採られることになります。
ところがKFKの提案は電力各社に対しむしろ有利な内容であったと専門家が分析した結果が、株式市場の値動きに現れました。
KFKの発表直後、E.ONの株価は5パーセント急上昇し、RWEは8パーセント値を上げました。

Gorleben01
▽ 訴訟と核廃棄・廃炉費用のねん出は別問題

E.ON、RWE、Vattenfall、EnBWの4台電力会社はこれより以前、最高裁判所(憲法裁判所)においてドイツ政府に対する訴訟をおこしていました。
この訴訟は2011年3月、日本において福島第一原発が3基の原子炉がメルトダウンする事故を起こしたことを受け、アンゲラ・メルケル首相がドイツが段階的に原子力発電所を全廃すると突如発表したことについて、憲法上の首相の権限を逸脱したものであるとしています。
訴訟で電力会社は合わせて数十億ユーロに上る逸失利益の補償を要求しています。

4社のうち、E.ONのCEOであるヨハネス・ティッセン氏はこの訴訟についてはこのまま続行するが、放射性核廃棄物の最終処分と全原子炉の廃炉に必要な費用をどう算定するかという問題と直接の関係は無いと語りました。

仏・フェッセンアイム
しかしEnBWはここにきてドイツ政府に対する訴訟を取り下げました。
同様の訴訟を行っているE.ONが勝訴できるかどうか、その見通しは未だ明らかではありません。

〈 完 〉
http://www.dw.com/en/german-utilities-to-pay-for-nuclear-waste-disposal/a-19218042 + – + – + –   + – + – + – + – + – + – + – +

原子炉を稼働させていた間の利益が分配されていた訳でもないのに、廃炉となったら国民がみんなでその費用を負担しろ(税金によって賄え)というのはあまりに理不尽だと思います。
なぜそうなるのか、原子力発電を始めた際、国民がはっきり『NO!』を突きつけなかったからに他なりません。
もっとも原子力発電所の建設が日本で始まった当初、福島第一原子力発電所のような事故が起きる可能性や原子力発電を行った結果高放射性廃棄物という極めて危険な核のゴミが発生し、その処理方法などは存在しないなどと言う事は一切広報されなかったに違いありません。

権力の座にある者が何事かを華々しく宣伝する時、最終的にどう決着するのか、どのような副作用があるのか、一般市民が目を光らせなければなりません。

  + – + – + – + – + – + – + – +

【 石に刻まれた世界のスピリチュアル 】《3》

ガーディアン 6月21日

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最後の光、カッパドキア、トルコ、2002年作品(写真上)
『パルミラ宮殿が(イスラム国によって)破壊されてしまった時、絶望的な喪失感に襲われました。このカッパドキアの壮大な規模の石造りの遺跡が時の経過に耐えられなかったら、どんな思いがしたでしょうか?』

半分そぎ落とされた石人像、モンゴル、2004年作品(写真下・以下同じ)
エレイン・リンは経験を積んだ医師でもあります。カナダ、アブダビと、そしてネパールでも医師として働いたことがあります。
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ミャンマー 2011年作品
ウェード・ディヴスはリンの作品集のまえがきにこう記しました。
「これらの石碑が私たちをひきつける理由は、古代の人々のひたむきな思いが極めて神聖な価値がそこに刻み込まれているからだと考えます。」
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自画像 アタカマ砂漠 チリ 2001年作品
「これこそは石碑が持つパワーを完ぺきに表現するものです。それが一気に溢れだし、永遠の輝きを持ち、しかも人間の想像力と精神の素晴らしさを見事に表現しています。」
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https://www.theguardian.com/artanddesign/gallery/2016/jun/21/talking-stones-elaine-ling-photographer-in-pictures


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ほんとうの「今」を知りたくて、アメリカCNN、NBC、ABC、CBS、英国BBC、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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